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寄贈雑誌
きぞうざっし
作品ID56969
著者伊藤 野枝
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代」 學藝書林
2000(平成12)年5月31日
初出「青鞜 第三巻第二号」1913(大正2)年2月1日
入力者酒井裕二
校正者Juki
公開 / 更新2018-01-21 / 2017-12-26
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 月刊『相対』本郷区駒込林町二三〇相対社発行。

 今度かう云ふ雑誌を紹介致します。小さい雑誌ですが極めて真面目なものでかう云ふ種類の雑誌は他にないさうです。本誌は小倉清三郎氏が単独でおやりになつて居ります。材料も非常に沢山集めてあるさうです。私共はかう云ふ真面目な小雑誌の一つ生れる方が下だらない文芸雑誌の十も生れるよりはたのもしく思ひます。
  内容
主たる問題 性的経験と対人信仰
春的経験  春的気分  春的性感
馬慮に伴ふ腥覚時の遺精の一例
人にも祈る
幸運不運
若きニユートンの幸運
山の上の出来事。(想像)
 内容を少しばかり此処に写して見やうと思ひます。
主たる問題
 私が此の研究録に於て取り扱ひ度いと思つてゐる主たる問題が二つある。第一は性的経験である。第二は対人信仰である。
経験 性的経験
 私が此処に経験と云ふのは、内省に依つて観察せられ得る一切の事柄を指して云ふのである。例へば感覚、気分、快、不快、情欲、亢奮などは何れも私の云ふ経験である。経験の中に就て直接間接に異性に関聯した経験を特に性的経験と呼ぶのである。
信仰 対神信仰と対人信仰
 私は以前神に対してのみ経験してゐた特殊の心持を後には人に対しても亦た明かに経験するやうになつて来た。私は此の特殊の心持を信仰と呼むでゐる。而して神に対する信仰をば対神信仰と呼び人に対する信仰をば対人信仰と呼むでゐる。
 対神信仰は神に就いて若干の思想に伴つて経験せられたのであつた。対人信仰もまた人に就いて若干の思想に伴つて経験せられ始めたのである。故に信仰を研究するには其れに関聯した若干の思想をも併せて研究せねばならぬ。然し信仰其れ自身は思想でない。(以下略)
[『青鞜』第三巻第二号、一九一三年二月号]



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