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書簡 山田邦子宛
しょかん やまだくにこあて
副題(一九一五年七月一一日)
(せんきゅうひゃくじゅうごねんしちがつじゅういちにち)
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代」 學藝書林
2000(平成12)年5月31日
入力者酒井裕二
校正者雪森
公開 / 更新2016-08-21 / 2016-06-10
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

宛先  東京代々木
発信地 小石川区指ヶ谷町 青鞜社


 お手紙拝見いたしました。おかねもたしかに頂だい致しました。ありがたく御礼申上げます。この間から、あなたにはお目に懸りに伺はふか、それとも手紙でと、いろ/\に考へて居りましたの。先日の永いお手紙に返事を出しそびれまして、さぞお腹立のことと存じ、そのおわびもあり、それからわざ/\お持ち下さいました御歌集についても、まづしい感想でもと思ひながら、今月号に何の御紹介もいたしませんで、そのおわびにもとおもひまして、かたがたとても手紙では申上きれませんし、是非伺はうと思つて居りましたのに、先きにあのやうなお手紙をいただきまして、本当に恐縮いたしました。御歌集については九月にゆる/\少しながく書いて見る気が御座いますので、少し時期はのびますがおゆるしをお願ひする気でをりました、何卒あしからずおゆるし下さい。
 いつぞやは私の方でもぜひおわびしなければなりません。あんなにとり乱してをりましたので自分ながら困つて仕舞ひました。そうしてあなたに失礼なおもひをいたしまして、私は後で本当に私こそあなたに済まなくて後悔いたしてをりました。それだのにあなたから反対にあんなお手紙をいただきまして、すつかりどぎまぎして仕舞ひました。そのこと直ぐに御返事を書かうと思ひ/\つい日頃の不精のせいで毎日おもひくらしてゐながら一日一日と遠ざかつて、何となくあなたにはすまない/\と思ひながら出しそびれてそのままになつて仕舞ひました。けれども決して横着な気があつたのでは御座いませんから何卒おゆるし下さいまし。国へは十六七日頃立つつもりで居りますから、出来ればその前に一度お伺ひしたいと思つて居りますが、よくそれもわかりません。何卒あなたにもおあつさおいとひ下さい。
 それから又九月には記念号を出したいと存じますから、八月十日頃までになるべく永いものを何卒頂かして下さいましな。いつも/\勝手なお願ひをいたしながら感謝のおしるしも出来ないふがひなさを悲しく存じて居りますけれど、今度かへつてまゐりましたらば、もうすこし仕事に自分をみんなうち込んで少ししつかりしたものにしたいと息込んでゐます。それにしても矢張りあなた方のお力にたよらなければ何にも出来ません。何卒何時までもよろしくお願ひいたします。私はあなたがもう少しお近かつたらとしみ/″\思ひます。
 私は今の処、本当に友だちといつてはないのです。平塚(らいてう)さんも遠くに行つて越して仕舞ひましたし、ろくに手紙も来ませんし書きません。あの方は本当に立派な方ですけれど、あの方にいつでも優越感をもたせてゐなくてはおつき合ひの出来ない方です。私が勿論、あの方に及ぶはづはありませんけれども、いくらかづつでも、他の者が育つてゆくのをずつと見てゐられる方ではないので、私も子供が出来てエゴイステイツクになつたと非難…

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