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書簡 武部ツタ宛
しょかん たけべツタあて
副題(一九一七年八月一三日)
(せんきゅうひゃくじゅうななねんはちがつじゅうさんにち)
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代」 學藝書林
2000(平成12)年5月31日
入力者酒井裕二
校正者雪森
公開 / 更新2016-07-08 / 2016-06-18
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


宛先  大坂市西区松島十返町 武部種吉様方
発信地 東京市外巣鴨村宮仲二五八三


 お手紙拝見。大坂に来てゐると云ふことはやつと半月ばかり前にききました。東京に来たのだつたら尋ねて来ればよかつたのに。本郷の菊富士ホテルと云ふことは今宿のうちでも代のうちでも知つてゐる筈、一寸きいてから来ればよかつた。うちからは四五日前たよりがあつた。突然に、盆前に金を送つてくれるやうにとの事だつたけれど、もう日数がないから、とりあえず手許にあつた拾円だけ送つて置きました。私も毎月でも送りたいと思ふが、流二を他所に預けて、その方に毎月十円近くとられるので、三十円や四十円とつた所でどうすることも出来ないのに、この二三ヶ月は体の具合がわるくて少しも仕事をしないで遊んでゐるので一層困ります。出来さえすればどうにでもするつもり。今宿へは今年一杯はかへれないと思ふ。来年になつたら早々にかへります。大阪には、もうよほどお馴れか、少しは知つた人が出来ましたか。私も時々はたよりをするから、そちらでも時々はハガキ位は書いて欲しい。こちらに用があつたら、面倒な事でなかつたら足してあげる。入用なものでもあつたら、とゝのへて送つてあげる。大阪では、国とも大分遠いから、体を大切にして病気になんかならぬやうになさい。私のことは心配しなくても大丈夫だから。そのうち大阪にでも行つたら会ひませう。大坂は特にあついから本当に体を大事におしなさい。
野枝
津た子どの



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