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赤いカブトムシ
あかいカブトムシ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「新宝島」 江戸川乱歩推理文庫、講談社
1988(昭和63)年11月8日
初出「たのしい三年生」講談社、1958(昭和33)年4月~1959(昭和34)年3月
入力者sogo
校正者岡村和彦
公開 / 更新2016-09-30 / 2016-09-06
長さの目安約 48 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


 あるにちよう日のごご、丹下サト子ちゃんと、木村ミドリちゃんと、野崎サユリちゃんの三人が、友だちのところへあそびに行ったかえりに、世田谷区のさびしい町を、手をつないで歩いていました。三人とも、小学校三年生のなかよしです。
「あらっ。」
 サト子ちゃんが、なにを見たのか、ぎょっとしたようにたちどまりました。
 ミドリちゃんもサユリちゃんもびっくりして、サト子ちゃんの見つめている方をながめました。
 すると、道のまん中に、みょうなことがおこっていたのです。むこうのマンホールのてつのふたが、じりり、じりりと、もち上がっているのです。だれか、マンホールの中にいるのでしょうか。
 マンホールのふたは、すっかりひらいていました。そして、その下から、黒いマントをきた男の人が、ぬうっとあらわれたのです。その人は、つばのひろい、まっ黒なぼうしをかぶり、大きなめがねをかけ、口ひげがぴんと、両方にはね上がっていて、黒い三かくのあごひげをはやしていました。
 せいようあくまみたいな、きみのわるい人です。その人は、マンホールからはい出して、じめんにすっくとたち上がると、三人の方を見て、にやりとわらいました。そして、黒いマントを、こうもりのようにひらひらさせながら、むこうの方へ歩いていくのです。
「あやしい人だわ。ねえ、みんなで、あの人のあとをつけてみましょうよ。」
 ミドリちゃんが、小さい声でいいました。ミドリちゃんのにいさんの敏夫くんは、しょうねんたんていだんいんなので、ミドリちゃんもそういうたんていみたいなことがすきなのです。サト子ちゃんもサユリちゃんも、ミドリちゃんのいうことは、なんでもきくくせなので、そのまま三人で、黒マントの男のあとをつけていきました。
 黒マントは、ひろいはらっぱをとおって、むこうの森の中へはいっていきます。世田谷区のはずれには、はたけもあれば、森もあるのです。ひるまですから、もりへはいるのも、おそろしくはありません。三人は、こわいもの見たさで、どこまでもあとをつけました。
 森の中に、一けんのふるいせいようかんがたっていました。
「あらっ、あれはおばけやしきよ。」
「まあ、こわい。どうしましょう。」
 そのせいようかんは、むかし、せいよう人がすんでいたのですが、いまはあきやになっていて、そのへんではおばけやしきとよばれています。
 三人は、近くにすんでいるので、それをよく知っていました。
 夜、せいようかんの二かいのまどから、赤い人だまが、すうっと出ていったのを見た人があるということでした。また、だれもいないせいようかんの中から、きみのわるい女のなき声がきこえてくるといううわさもありました。
 三人のしょうじょがにげ出そうとしていますと、あっとおどろくようなことがおこりました。
 黒マントの男が、せいようかんの外がわを、するするとのぼっていくではあり…

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