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鉄人Q
てつじんキュー
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「塔上の奇術師/鉄人Q」 江戸川乱歩推理文庫、講談社
1988(昭和63)年7月8日
初出「小学四年生」講談社、1958(昭和33)年4月号~1959(昭和34)年3月号<br>「小学五年生」講談社、1959(昭和34)年4月号~1960(昭和35)年3月号
入力者sogo
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2017-03-16 / 2017-03-06
長さの目安約 157 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

ふしぎな老人
 北見菊雄君は、小学校の四年生でした。おうちは東京の豊島区にあるのですが、近くに小さい公園があり、北見君は、友だちといっしょに、その公園で、よく野球などして遊ぶのでした。
 公園には、毎日のように、みょうなおじいさんが、来ていました。しらが頭にベレー帽をかぶり、大きなめがねをかけ、白い口ひげと、あごひげをはやし、灰色の洋服を着て、ベンチに腰かけているのです。
 北見君たちは、いつのまにか、そのおじいさんとなかよしになりました。おじいさんは、少年たちにおもしろい話を聞かせてくれるのです。
 なんでもよく知っていました。学校の先生よりも、ものしりのように見えました。
「わしはね、科学者だよ。そして、発明家だよ。いま、すばらしいものを発明しているんだ。きみたちは、びっくりするよ。いや、どんなおとなでも、あっとおどろくような発明だよ。できたら、きみたちにも、見せてあげようね。」
 おじいさんは、しわだらけの顔で、ニヤニヤ笑いながら、そんなことをいいました。
「それ、どんな発明なの? 何かを作っているの?」
 少年たちが、たずねますと、おじいさんは、もったいぶったようすで、
「それは、まだいえない。わしの秘密だからね。むろん、何かを作っているんだよ。すばらしいものだ。世界じゅうの人が、あっとおどろくようなものだ。」
 おじいさんは少年たちに会うといつでも、そのことを話しました。しかし、何を作っているのか、少しもうちあけてくれないので、少年たちは、つまらなくなって、もう、おじいさんが、そのことをいいだしても、耳をかたむけようとはしなくなりました。
 その中で、北見菊雄君だけは、いつまでも、おじいさんの発明のことをわすれないで、どうかして、その発明したものを見たいと思っていました。
 ある日のこと、友だちが、みんな帰ってしまって、北見君は、ひとりぼっちになったので、おうちへ帰ろうと、公園の出口の方へ歩いていきますと、そこのベンチに、あのおじいさんが、腰をかけていて、にこにこと、笑いかけました。
「おじいさん、あの発明、まだできないの?」
 北見君が、そばによって聞きますと、おじいさんは、いつもより、いっそうやさしい、えがおになって、
「うん、やっとできたよ。すばらしい発明をなしとげたよ。きみは北見君といったね。きみが、いちばん熱心に、わしの話を聞いてくれたね。それにめんじて、いちばん先に、わしの発明を、きみに見せてあげようか。」
 それを聞くと、北見君は、すっかりうれしくなってしまいました。
「うん、見せて! それは、どこにあるの?」
「わしのうちにあるんだよ。」
「おじいさんのうち、どこなの?」
「ここから五百メートルぐらいの、近いところだ。北見君、わしといっしょにくるかね。」
「うん、そんなに近くなら、行ってもいいや。ほんとうに見せてくれる?」
「見せる…

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