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探偵小説の「謎」
たんていしょうせつのなぞ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「新版 探偵小説の「謎」」 現代教養文庫、社会思想社
1956(昭和31)年6月25日
初出1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月
入力者華猫
校正者まつもこ
公開 / 更新2017-07-28 / 2017-07-17
長さの目安約 240 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

序――この本のなりたち


 社会思想研究会出版部のすすめによって、私の随筆の中から、探偵小説のトリックを解説したものを集めてみた。トリックについては、私は別に「類別トリック集成」(早川書房版『続幻影城』に収む)というものを書いているが、これは探偵小説に慣れた人々のための項目書きのようなもので、一般の読み物としては不適当なので、本書にはその目次のみを参考として巻末に加え、内容全部はのせなかった。のちに、その「トリック集成」の部分部分を、もっとわかりやすい書き方にした随筆が幾つかあるので、ここにはそれらを集め、ほかに類縁の「魔術と探偵小説」「スリルの説」などを加え、さらに本書のために新らしく「密室トリック」三十五枚を書き下して、首尾をととのえた。
「類別トリック集成」は八百余の各種トリックを九つの大項目にわけて解説したものだが、それらの項目と本書の随筆との関係を左にしるして御参考に供する。これには巻末の「類別トリック集成」目次を参照されたい。
第一、犯人の人間に関するトリック[#「第一、犯人の人間に関するトリック」は底本では「 第一、犯人の人間に関するトリック」]
この項目では「一人二役」と、「その他の意外な犯人」の二つが最も大きなものだが、本書の「意外な犯人」と「奇矯な着想」(の一部)はその両者から面白そうな部分を抜きだして随筆にしたものである。
第二、犯罪現場と痕跡に関するトリック
この内訳は[#挿絵]密室トリック[#挿絵]足跡トリック[#挿絵]指紋トリックであるが、本書の「密室トリック」は[#挿絵]を詳しく書き直したもの、また、本書「明治の指紋小説」は[#挿絵]に関係がある。
第三、犯行の時間に関するトリック
この項目はくだいて書いた随筆がないので、本書にはのせられなかった。
第四、兇器と毒物に関するトリック
本書「兇器としての氷」と「異様な兇器」はこの項目の兇器の部分をくだいて書いたものである。毒物についてはそういう随筆がない。
第五、人および物の隠し方トリック
本書「隠し方のトリック」はこの項目の中から面白そうな例をひろいだして詳記したものである。
第六、その他の各種トリック
この項目には第一から第五までのどれにも属しない二十二種の異ったトリックが列挙してあるが、本書の「奇矯な着想」(の一部)と「プロバビリティーの犯罪」はそのうちの二、三種を詳記したものである。
第七、暗号記法の分類
この項目は原文がやや読みやすく書いてあるので、そのまま本書に再録した。
第八、異様な動機
これも前項と同様である。ただし多少の省略を加えた。
第九、犯罪発覚の手掛り
この項目は内容がはなはだ貧弱だし、別に書き改めたものもないので、本書には省かれている。

昭和三十一年五月
江戸川乱歩
[#改ページ]

1 奇矯な着想



 昔の探偵小説家、ことに英米、アングロサクソン…

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