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怪奇小説の執筆についての覚書
かいきしょうせつのしっぴつについてのおぼえがき
原題Notes on Writing Weird Fiction
著者
翻訳者The Creative CAT
文字遣い新字新仮名
入力者The Creative CAT
校正者
公開 / 更新2016-08-20 / 2016-08-23
長さの目安約 10 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 私が小説を執筆するのは、目に入った種々のもの(風景や建築や雰囲気など)、観念、出来事、そして美術や文学の中で出会ったイメージから生まれた驚異や美や冒険への期待についての、曖昧で捕らえ所のない断片的な印象を、一層明確に詳細にかつ安定した形で目に見えるようにして、自分自身を満足させるためです。怪奇小説を選んだのはそれが何より自分の好みに合うからでした――私の中の最も強く最も永続的な願望、即ちいますぐ、時間・空間・自然法則という忌々しい制限を一時停止させあるいは打破する奇妙な幻想を見たいという願望に。私達はそのような制約の中に永遠の囚人として監禁され、目に見え分析できる半径を超えて無限の宇宙空間を知りたいという好奇心を満たし切れないでいるのです。それらの小説は屡々恐怖という要素に重きを置きますが、それは恐怖が私達の最も深くかつ強い情動であり、また、自然に反する幻想を想像するにあたって最も優れた縁となるからであります。恐怖と未知ないし不思議なものとは常に密接に関連しており、恐怖という情動に力点を置くことなしに、自然法則を粉砕する図、宇宙の除け者になる図、あるいは「外部にあること」を満足に描くことは困難なのです。多くの私の物語において時間が重要な役割を果たしているのは、私の心の中では、大宇宙広しといえどもこの要素以上にドラマチックでありかつ容赦のない恐怖をもって浮かび上がってくるものが見当たらないからです。私にとって時間との衝突こそ人間に表現しうる最も強力かつ実り多い主題です。
 私が選んだストーリーライティングの形式は明らかに特殊で恐らくは偏狭なものですが、それにも拘らず文学そのものと同じくらい不滅で永続的な表現法です。人口の中の少ないパーセンテージながら常にある種の人々がおり、未知の外宇宙への身を焦がすような好奇心を持ち、既知の現実という牢獄から逃げ出して信じ難い冒険と限りない可能性をもつ魅惑の国へ行きたいという燃えるような願いを持っているのです。夢の中で、また、深い森や幻想的な都会の塔や燃え上がる夕映えが仄めかす一瞬の暗示として、私達の前に開かれる魅惑の国に。このような人々の中には、私のような取るに足らぬ素人だけではなく、偉大な作家が含まれます――ダンセイニ、ポオ、アーサー・マッケン、M・R・ジェイムス、アルジャーノン・ブラックウッド、及びウォルター・デ・ラ・メアがそれに属する代表的な巨匠達です。
 私が小説を書くやり方といっても――決まった方法があるわけではありません。私が書いた物語にはそれぞれに異なった由来があります。一度か二度、文字通り夢そのものを書き出したことがありますが、普通はどんな雰囲気や観念やイメージを表現したいか、という所から始め、それらを具体的な言葉の形で記録できる劇的な事件の連鎖として具体化する上手い方法を思いつくまで繰り返し考えます。よく…

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