えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


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夢日記
ゆめにっき
原題Dreams
著者
翻訳者The Creative CAT
文字遣い新字新仮名
入力者The Creative CAT
校正者
公開 / 更新2017-09-16 / 2017-08-25
長さの目安約 98 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 私がこれから読者に提示しようとしている年代記は意識的に想像力を働かせた結果ではない。題名が示す通りこの十年間の夢の記録である。折々見た夢を日記から掘り起こして、ほぼ時間的な順序に沿って書き写したものだ。夢から覚めた後できるだけ速やかに筆記したため、必然的に文体が未整理であり用語の洗練を欠いているものの、少なくとも生々しい色彩を得てはいる。それぞれのヴィジョンが私の心の中に強い痕跡を残している間に、眠りの中で見聞きした光景や音響の現実感が去ってしまう前に、紙面に記されたものなのだから。
 これらの夢体験が類例のないものかは不明だ。これまでのところ、夢見る能力を私ほどの強さないし異常さで発展させた人物には会ったことがない。たいていの夢は、それが常になく鮮明かつ明晰であっても、行動の統一性や、細部および dramatis personae における一貫性に不足する点があり、故に不完全ないし分裂した大脳機能の所産という烙印を押されることになる。だが、以下に記そうとしている夢体験の最も顕著な特徴は、一つは継続的な記録方法にあり、もう一つは目撃した出来事や読んだり聞いたりした言葉に対するのと同様の知的な目的意識にある。これらの中のあるものは、確かに、意味と深遠さにおいて東方の経典の寓話に類似しており、また夢の中の情景は一再ならず遠くの土地、都市、森、山を精密に描写しているのだが、少なくとも私はそれらの地を一度も見たことがなく、記憶にある限り、そんなものの話を聞いた経験もない。それでもなお、これらの見知らぬ風土は夢の中で驚くほど多彩かつ明確に現れ、目覚めた世界などこれに比べると色あせて現実味がないくらいだ。知る限り、この現象に比肩し得るのはブルワー=リットンの小説――「ラインの巡礼」に描かれたものだけである。そこでは、一人の夢見る能力に恵まれたドイツ人学生について語られるのだが、この学生にとっては睡眠と覚醒における通常の状況が逆転し、眠りの中の人生こそが真実であり、目覚めている時間など、睡眠状態の中で受ける強烈かつヴィヴィッドな興味の合間に存在する長くてつまらない拘留期間に過ぎないのだ。このような自然状態の逆転は私には一切起こっていない。反対に、夢によって得られた値付けしようのないほど貴重な洞察と光明は、人生の数多い困難と謎とを解き明かすために大いに役立った。のみならず、夢の力を借りなければ信仰についても暗いままだったのだ。夢はまた当惑に満ちた我が経歴の浮沈にあって、日光のような光を投げかけ、夫々の状況をもたらした原因や源泉まで貫通し、私の人生に意味と健全さをもたらしてくれた。夢がなければ、それはバラバラで一貫性を欠くものとなっていただろう。
 自分の能力を説明する理論について、読者に提示できるようなものは持ち合わせていない――少なくとも生理学的な側面が関係する…

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