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帰省
きせい
作品ID1414
著者漢那 浪笛
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
初出「沖縄毎日新聞」1909(明治42)年4月26日
入力者坂本真一
校正者良本典代
公開 / 更新2017-01-05 / 2016-12-09
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


若夏の入江の西に、
萎ゆる帆を静かにたゝみ、
大船の錨なぐるや、

波止場には、吾かなつかしき
南国の男女のあまた、
すゝみよる、艀むかへぬ。

艀より人力車にうつり、
石原を、左右にゆれて、
店先の軒をたどれば、
かけつるす芭蕉実のかをり
夏風にゆる/\薫じて、
故郷は夢にさながら。

父母や妹をしのび、
過ぎゆけば、榕樹しげれる、
門に着き――涙こぼれぬ。



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