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古事記物語
こじきものがたり
作品ID1530
著者鈴木 三重吉
文字遣い新字新仮名
底本 「古事記物語」 角川文庫、角川書店
1955(昭和30)年1月20日、1968(昭和43)年8月10日31版
入力者jupiter
校正者鈴木厚司
公開 / 更新2001-11-19 / 2014-09-17
長さの目安約 199 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

女神の死




 世界ができたそもそものはじめ。まず天と地とができあがりますと、それといっしょにわれわれ日本人のいちばんご先祖の、天御中主神とおっしゃる神さまが、天の上の高天原というところへお生まれになりました。そのつぎには高皇産霊神、神産霊神のお二方がお生まれになりました。
 そのときには、天も地もまだしっかり固まりきらないで、両方とも、ただ油を浮かしたように、とろとろになって、くらげのように、ふわりふわりと浮かんでおりました。その中へ、ちょうどあしの芽がはえ出るように、二人の神さまがお生まれになりました。
 それからまたお二人、そのつぎには男神女神とお二人ずつ、八人の神さまが、つぎつぎにお生まれになった後に、伊弉諾神と伊弉冉神とおっしゃる男神女神がお生まれになりました。
 天御中主神はこのお二方の神さまをお召しになって、
「あの、ふわふわしている地を固めて、日本の国を作りあげよ」
 とおっしゃって、りっぱな矛を一ふりお授けになりました。
 それでお二人は、さっそく、天の浮橋という、雲の中に浮かんでいる橋の上へお出ましになって、いただいた矛でもって、下のとろとろしているところをかきまわして、さっとお引きあげになりますと、その矛の刃先についた潮水が、ぽたぽたと下へおちて、それが固まって一つの小さな島になりました。
 お二人はその島へおりていらしって、そこへ御殿をたててお住まいになりました。そして、まずいちばんさきに淡路島をおこしらえになり、それから伊予、讃岐、阿波、土佐とつづいた四国の島と、そのつぎには隠岐の島、それから、そのじぶん筑紫といった今の九州と、壱岐、対島、佐渡の三つの島をお作りになりました。そして、いちばんしまいに、とかげの形をした、いちばん大きな本州をおこしらえになって、それに大日本豊秋津島というお名まえをおつけになりました。
 これで、淡路の島からかぞえて、すっかりで八つの島ができました。ですからいちばんはじめには、日本のことを、大八島国と呼び、またの名を豊葦原水穂国とも称えていました。
 こうして、いよいよ国ができあがったので、お二人は、こんどはおおぜいの神さまをお生みになりました。それといっしょに、風の神や、海の神や、山の神や、野の神、川の神、火の神をもお生みになりました。ところがおいたわしいことには、伊弉冉神は、そのおしまいの火の神をお生みになるときに、おからだにおやけどをなすって、そのためにとうとうおかくれになりました。
 伊弉諾神は、
「ああ、わが妻の神よ、あの一人の子ゆえに、大事なおまえをなくするとは」とおっしゃって、それはそれはたいそうお嘆きになりました。そして、お涙のうちに、やっと、女神のおなきがらを、出雲の国と伯耆の国とのさかいにある比婆の山にお葬りになりました。
 女神は、そこから、黄泉の国という、死んだ人の行くまっく…

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