えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


広告

碧眼托鉢
へきがんたくはつ
副題――馬をさへ眺むる雪の朝かな――
――うまをさえながむるゆきのあしたかな――
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「太宰治全集10」 ちくま文庫、筑摩書房
1989(平成元)年6月27日
初出ボオドレエルに就いて「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>ブルジョア芸術に於ける運命「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>定理「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>わが終生の祈願「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>わが友「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>フィリップの骨格に就いて「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>或るひとりの男の精進について「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>生きて行く力「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>わが唯一のおののき「日本浪曼派 第二巻第一号」1936(昭和11)年1月1日<br>マンネリズム「日本浪曼派 第二巻第二号」1936(昭和11)年2月1日<br>作家は小説を書かなければいけない「日本浪曼派 第二巻第二号」1936(昭和11)年2月1日<br>挨拶「日本浪曼派 第二巻第二号」1936(昭和11)年2月1日<br>立派ということに就いて「日本浪曼派 第二巻第三号」1936(昭和11)年3月1日<br>Confiteor「日本浪曼派 第二巻第三号」1936(昭和11)年3月1日<br>頽廃の児、自然の児「日本浪曼派 第二巻第三号」1936(昭和11)年3月1日
入力者土屋隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2005-04-24 / 2016-07-12
長さの目安約 12 ページ(500字/頁で計算)
えあ草紙で読む
HTMLページで読む

広告

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

find Audible YouTube

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

楽天Koboで表紙を検索

広告

本文より

     ボオドレエルに就いて

「ボオドレエルに就いて二三枚書く。」
 と、こともなげに人々に告げて歩いた。それは、私にとって、ボオドレエルに向っての言葉なき、死ぬるまでの執拗な抵抗のつもりであった。かかる終局の告白を口の端に出しては、もはや、私、かれに就いてなんの書くことがあろう。私の文学生活の始めから、おそらくはまた終りまで、ボオドレエルにだけ、ただ、かれにだけ、聞えよがしの独白をしていたのではないのか。
「いま、日本に、二十七八歳のボオドレエルが生きていたら。」
 私をして生き残させて居るただ一つの言葉である。
 なお、深く知らむと欲せば、読者、まず、私の作品の全部を読まなければいけない。再び絶対の沈黙をまもる。逃げない。

     ブルジョア芸術に於ける運命

 百姓、職工の芸術。私はそれを見たことがない。シャルル・ルイ・フィリップ。彼が私を震駭させただけである。私は、否、人々は、あらゆるクラスの芸術を、ふくめて、芸術と言っているようである。つぎの言葉が、成り立つ。「それを創る芸術家に、金が、あればあるほど、佳い。さもなくば商才、人に倍してすぐれ、(恥ずべきことに非ず。)画料、稿料、ひとより図抜けて高く売りつけ、豊潤なる精進をこそすべき也。これ、しかしながら、天賦の長者のそれに比し、かならず、第二流なり。」

     定理

 苦しみ多ければ、それだけ、報いられるところ少し。

     わが終生の祈願

 天にもとどろきわたるほどの、明朗きわまりなき出世美談を、一篇だけ書くこと。

     わが友

 ひとこと口走ったが最後、この世の中から、完全に、葬り去られる。そんな胸の奥の奥にしまっている秘密を、君は、三つか四つ――筈である。

     憂きわれをさびしがらせよ閑古鳥

「日本浪曼派」十一月号所載、北村謙次郎の創作、「終日。」絶対の沈黙。うごかぬ庭石。あかあかと日はつれなくも秋の風。あは、ひとり行く。以上の私の言葉にからまる、或る一すじの想念に心うごかされたる者、かならず、「終日。」を読むべし。私、かれの本の出版を待つこと、切。

     フィリップの骨格に就いて

 淀野隆三、かれの訳したる、フィリップ短篇集、「小さき町にて。」一冊を送ってくれた。私、先月、小説集は誰のものでも一切、読みたくなかった。田中寛二の、Man and Apes. 真宗在家勤行集。馬鹿と面罵するより他に仕様のなかった男、エリオットの、文学論集をわざと骨折って読み、伊東静雄の詩集、「わがひとに与ふる哀歌。」を保田与重郎が送ってくれ、わがひととは、私のことだときめて再読、そのほか、ダヴィンチ、ミケランジェロの評伝、おのおの一冊、ミケランジェロは再読、生田長江のエッセイ集。以上が先月のまとまった読書の全部である。ほかに、純文芸冊子を十冊ほど読んだ。今月、そろそろ…

えあ草紙で読む

ライフメディアへ登録

Koboユーザー必見!
楽天スーパーポイントとは別に
価格の5%がポイントに!

find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2016 Sato Kazuhiko