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パソコン創世記
パソコンそうせいき
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「エキスパンドブック版 パソコン創世記」 ボイジャー
1995(平成7)年
初出第一部「パソコン創世記」旺文社文庫、旺文社、1985(昭和60)年2月、第二部「パソコン創世記」ティビーエス・ブリタニカ、1994(平成6)年12月21日
入力者富田倫生
校正者富田倫生
公開 / 更新1997-12-15 / 2014-09-17
長さの目安約 1127 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

すべてのはじまりに
〈本〉がインターネットに溶け出す時

 エキスパンドブックの世界が広がっている。
 当初は読むのも作るのもマッキントッシュだけだったが、ウインドウズでもブックを開けるようになった。一九九六(平成八)年六月には、ウインドウズ用の本作りツールが発売になり、作る方も両方で可能になった。

 初代のエキスパンドブック版『パソコン創世記』は、マックでしか読めなかった。出来上がったCD―ROMを手渡すと、マイクロソフトの古川享さんから「ウインドウズ版は?」と宿題を出された。
 本書の柱は、我が国のパーソナルコンピューター作りを引っ張ってきた日本電気の歴史である。その主人公が作っている機械で読めないのは、「いかにも間が抜けているな」と自分でも思っていた。気にかけて、「ウインドウズでも読めるよう、ハイブリッド化を急げ」と励まして下さる方もあった。
 ボイジャーの開発チームと、ウインドウズへの移植に協力した日本電気の努力によって、ほとんどのパーソナルコンピューターでこのタイトルを開けるようになったことを喜び、力を奮われた方々に感謝したい。
 私たちは、コンピューターに本を移し変える道の途上にある。課題は多いが、前進していることも間違いない。

 ウインドウズでも読めるものが作れると目途がついたときには、けっこう長くかかずらってきたこのプロジェクトにも、一応の決着を見るのだなと考えていた。
 だが、今は終わりよりもむしろ、始まりを意識している。
 大きな新しい海に、これから泳ぎ出していくような気分だ。
 エキスパンドブックに新しく付け加えられたたった一つのコマンドに、しんみりと落ち着こうとしていた気分を蹴飛ばされ、下ろそうとしていた腰がすっかり伸びてしまった。
 
 ハイブリッド化の作業の直前までは、同じくボイジャーから出る『ヒロシマ・ナガサキのまえに』の翻訳と制作にあたっていた。
 原子爆弾開発プロジェクトの中心となった物理学者、ロバート・オッペンハイマーの軌跡をたどったドキュメンタリー映画、『ザ・デイ・アフター・トリニティー』を中心に据えたタイトルだ。
「人間的な気持ちを持っていた人たちが、なぜあのような大量破壊兵器の開発に全力で取り組むことができたのか」
 監督のジョン・エルスはそう問題を設定し、ねじ込むように対象に迫っている。
 映画制作時、オッペンハイマーはすでに他界していたが、計画に携わった物理学者たちが貴重な証言を寄せている。ただしドキュメンタリー映画の常で、記録された言葉のうち本編に収録できたものは、ごく一部に限られていた。
 一方、映画制作から十五年を経て編まれたCD―ROM版には、書き起こされたインタビューの全文が収録された。公開されたかつての秘密ファイルや関係資料もおさめられ、開発に至る流れの全体像を浮かび上がらせようと工夫が凝らされて…

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