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東洋人の発明
とうようじんのはつめい
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「桑原隲藏全集 第一巻 東洋史説苑」 岩波書店
1968(昭和43)年2月13日
初出「中等學校地理歴史教員協議會議事及講演速記録」1914(大正3)年12月
入力者はまなかひとし
校正者菅野朋子
公開 / 更新2002-02-26 / 2014-09-17
長さの目安約 21 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

この論文を讀む人は、拙稿「紙の歴史」「カーター氏著『支那に於ける印刷の起源』」[#底本にはここに「(いづれも本全集第二卷所收)」とある]及び拙著『蒲壽庚の事蹟』(本全集[#「桑原隲蔵全集」]第五卷所收)に載せた、支那に於ける羅針盤の使用に關する記事を參照ありたい。

 私は東洋人の發明と云ふ題で、一時間ばかりお話を致します。一體この協議會の趣意から申しまして、學問上のお話を致すよりも、教育上若くは教授上のお話を致す方が適當であることは、私も萬々承知して居りますが、聞く所では、二三日前已にこの席で、白鳥博士が中等教育の東洋歴史とか云ふお話があつたさうで、されば少し目先を變へて、學問に關係の有るお話を申す方が、却つて宜いかとも考へて、取敢へず昨日この題を極めた譯であります。暑い時分にむづかしい話は禁物と云ふことは、勿論承知致して居る。また僅か一時間で、六ヶ敷い話のしやうもありませぬ。其點は御安心下さい。
 さて近頃のやうに、交通の便利が開けた時代は別として、交通の開けない不便な時代でも、矢張り東洋と西洋との間には、宗教上或は政治上・商業上の關係からして、相互の交通が開けて居つて、自然東洋の文化と、西洋の文化とが、互に影響して居ることは明白な事實であります。或る時には東洋の文化が西洋に影響したこともあり、又或る時には其反對に西洋の文化が東洋に影響したこともある。確か昨年の秋十月だと思ふが、『新日本』と云ふ雜誌が、東洋人と西洋人と、何方がより多く世界の文化發展に貢獻致して居るか、即ち何方が今日までの世界の文化發達に、より多く力を寄與して居るかといふ題を掲げて、所謂名士とか申す各方面の人々の解答を求めたことがありました。その雜誌にはこの問題について、種々の解答を掲げてありますが、併し此問題はさう手輕に解答の出來る問題ではありませぬ。東洋人の發明で、世界の文化に影響したものがあることは事實でありますが、西洋の發明と比較して、何方がより多く世界の文化に貢獻したかと云ふことは、六ヶ敷い問題で、到底一朝一夕に解決し難い。私は唯東洋人の發明の中で、世界の文化に幾分貢獻したと思はれるもの二三を、極く簡單に紹介したいと思ふ。
 東洋人の發明と云ひますが、東洋と云ふ言葉が餘程曖昧な言葉であつて、内容がはつきりしませぬ。私が茲に申す東洋とは、極めて狹い意味に解して、東亞若くは極東と云ふのと同じ意味で、主として支那人を指すことと御承知を願ひます。
 東洋人の發明と云ふ中で、第一に注意すべきは印刷のことであります。支那の印刷術は何時出來たかと云ふと、いろいろの議論がありまして、今日でも學説が一定して居る譯でもありませぬ。併しながら普通では隋の時分に出來た、少くとも隋の開皇十三年(西暦五九三)に出來たことになつて居ります。無論之には異議を申立てる學者もあります、私なども之に絶對的信用を置くこ…

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