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SISIDO
シシド
作品ID4223
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十八巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日
初出「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
入力者柴田卓治
校正者磐余彦
公開 / 更新2004-05-17 / 2014-09-18
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

○手帖、(やすものの人造皮の表紙)
 その間から新聞の切抜
    カスト ダア
カストする(歯車でも何でも)そのキカイとカストとを二つながら製造する目ろみ、
○「まだ関西にもこれはないそうですから いろいろ研究しているんです、しらんぷりして。」
○女房には「話しません、空手形はださない」

〔欄外に〕
 昨年会ったときから見ると すっかり壮年的になっている。
 三十四歳。
○「夜店の大学を出たって平気ですよ」
○「つよい一面によわい」
「病気しませんねえ、相変らずコマコマしているが」

 岩手の農民の息子
 北海道の鉱山
  父 事務所
  兄 シキに入る
 自分小学を出た位のとき トランセントをかついで山を歩く。
 十七の年上京、小学二三年上の友達をたよって。くうに困って親に手紙を書いたら 親類教えてくれる
「親類があったんですよ」
 砲兵工廠につとめている。一年半ばかりゴロゴロ
 そこの妻君の兄のところへうつる、
 そこはい難いので夜だけ富士製紙のパルプをトラックにつんで運搬した、人足 そしたら内になり 足の拇指をつぶし紹介されて愛婦の封筒書きに入り居すわり六年(六十円)法政を出る、「あすこへ入らなかったら本当の職工でぐれちゃったかもしれませんね」

 かつぶし運送会社で南洋迄行ってカツオの研究をした
 土地会社 つぶれる<氷かつぎをやる
 ムジン会社 つぶれる。
       長崎まで行く
       たたき殺しちまうと代理店のゴロにおどかされる。
 其から又遊ぶ半年
 今度の箇人のケイエイの金原デンキに入る
 資本五十万円、箇人が大阪の××工業に売り 元のオヤジは専務、
 専務が細君のおじの友人
レジスター 電気チクオン器の部分品、タイムレコーダー等、タイムレコーダー アメリカのイミで 国産より高いのでうれず
「僕が一番売ってるんですよ 一年で二十二台ですからね 次のが十二台 あとは一台二台の程度です」
「僕は大阪にいいんです だから大抵大丈夫だろうと思うんですが――」
「月給七十円、べん当代30銭 足代が出るから助ります 朝出るとき一円ぐらいもって行ったって足が出ますからね そうすると書き出し(伝票)で貰うんです」
 一二年先へ先へと見とおしをつけなけりゃ困りますからね、真剣ですよ。
 三千円ぐらいなら出すひとがある。
「日日に林房雄が実業家のことを書いているんですね、
一寸金がいる
どの位だ、五万円までなら出す
って云っているんで、こんなひともいるのかなアと思いましたよ」
 聞いている方 それが本当の話だと思い だが、林がと変に思い
「林が? 林が出すって云ってるの?」
ときく
「いいや 誰だか」
「ああ、小説なの!」
 読んだひとには其が小説であるということなどぬきに、五万円迄は出すという そのことが大うつしになったのである。
 その焦点の…

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