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元時代の蒙古人
げんじだいのもうこじん
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「桑原隲藏全集 第一卷 東洋史説苑」 岩波書店
1968(昭和43)年2月13日
入力者はまなかひとし
校正者菅野朋子
公開 / 更新2002-03-04 / 2014-09-17
長さの目安約 38 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 今日は元時代の蒙古人の話を申すのですが、諸君の中の多數は此學校で既に幾分東洋史も習つて居るだらうし、又中學校あたりで東洋史も習つたであらうから、元時代の蒙古人の話は大概知つて居るだらうと思ひます。東洋史の中で一番面白いのは蒙古時代であつて、彼等の活動した舞臺が非常に廣いといふことと、又それが後世に及ぼした影響もなかなか廣い。例へて云へばアメリカ發見即ち新大陸發見も決して偶然に起つたことではない。無論イタリーのコロンブスが發見したのであるが、彼をしてさういふ新大陸を發見せしむるに至つた最も有力なる原因は蒙古が起つたことと非常に關係して居る。蒙古が起つた爲に支那といふ國が西洋の方へ知られ、その支那及び印度へ行く目的でコロンブスが西の方から出て遂にアメリカの方へ到着したのであります。
 唯に東洋史上に於ての興味ある時代であるのみならず、恐らく世界史の中でも蒙古時代ほど面白い時代はなからうと思ふ(拍手)。盛に四方を征伐して大いなる舞臺に活動したことはギリシアのアレキサンダーもあるし、ローマのシーザーもあるし、それから以後にも種々の英雄豪傑が澤山出て居りますけれども、其等の人々の事業は蒙古人の其に比べては殆ど太陽の前の星のやうなもので、到底比較にならぬのである。併しながら私は今日斯では蒙古人が、どんな大きな事業を立てたか、どんな戰爭をしたかといふことは言はない。それは普通の東洋史を習ふ時にも大抵聽き居ることと思ふ。例へば成吉思汗が西域を征伐したとか、速不台、哲別らがロシアの方を征伐したとか、或はそれから十年餘り經つてから成吉思汗の孫に當る拔都がロシアからハンガリー、ドイツ或はイタリーまで侵入して行つた話とか、或は又それから殆ど二十年ばかり經つて成吉思汗の同じく孫に當る旭烈兀といふものがペルシアからシリア征伐に出掛たなどといふこともあるですけれども、それは以前ならば兔も角も今日では多少人も知つて居るし、夫等の大體の話は他に聽き得る便宜も多からうと思ひますから、私はそれよりもう一つ進んで其時分の蒙古人は如何なる状態であつたか、如何なる生活をして居つたか、如何なる家に住んで居つたか、如何なる食物を食つて居つたかといふことを申して見たいと思ふ。
 其事は今まで殆ど誰も餘り注意して居らない問題である。その内には吾々が今日から見ると隨分奇妙なこともあるのです。此樣なる話は聽いて居つては或は蒙古の戰爭の話よりも面白くないかも知れぬが、實際其方が有益なことで、蒙古人が大いなる事業をしたといふ所の根底も其間に横たはつて居るのである。所が前にも申す通り此問題といふものは今迄誰もさう調べたことのない問題でありますから、吾輩が此處で話をしようと思うて實は三日程前から一寸調べて見たけれども、いろいろな用事もあるし、なかなかどうもそのはや旨く往かない(笑聲起る)。それで今日はまあ其時間が來たか…

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