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死者の書
ししゃのしょ
副題――初稿版――
――しょこうばん――
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「初稿・死者の書」 国書刊行会
2004(平成16)年6月18日
初出「日本評論 第14巻第1号、第2号、第3号」日本評論社、1939(昭和14)年1月号、2月号、3月号
入力者kompass
校正者小林繁雄、門田裕志
公開 / 更新2005-06-09 / 2014-09-18
長さの目安約 122 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

死者の書

戊寅、天子東狃二于沢中一。逢二寒疾一。天子舎二于沢中一。盛姫告レ病。天子憐レ之。□沢曰二寒氏一。盛姫求レ飲。天子命レ人取レ漿而給。是曰二壺※[#「車+端のつくり」、8-2]一。天子西至二于重壁之台一。盛姫告二病一。□天子哀レ之。是曰二哀次一。天子乃殯三盛姫二于轂丘之廟一。□壬寅、天子命レ哭。(略)……癸卯、大哭。殤祀而載。甲辰、天子南、葬二盛姫於楽池之南一。天子乃命二盛姫□之喪一。視二皇后之葬法一。亦不拝後于諸候。(略)……甲申、天子北、升二大北之[#挿絵]一。而降休二于両栢之下一。天子永念傷心、乃二思淑人盛姫一。於レ是流涕。七萃之士※[#「くさかんむり/要」、8-7]予上二諫天子一曰、自レ古有レ死有レ生、豈独淑人。天子不レ楽出二於永思一。永思有レ益、莫レ忘二其新一。天子哀レ之。乃又流涕。是日輟。己未。乙酉。天子西絶二※[#「金+研のつくり」、8-9][#挿絵]一。乃遂西南。戊子、至二于塩一己丑。天子南登二于薄山※[#「穴かんむり/眞」、8-10]※[#「車+令」、8-10]之[#挿絵]一。乃宿二于虞一。庚申、天子南征。吉日辛卯、天子入二于南※[#「酋+おおざと」、8-10]一。
穆天子伝


       一

鄭門にはひると、俄かに松風が吹きあてるやうに響いた。
一町も先に、堂伽藍が固まつて見える。――そこまで、ずつと砂地である。白い地面に、広い葉が青いまゝでちらばつて居るのは、朴の葉だ。
まともに、寺を圧してつき立つてゐるのが、二上山[#「二上山」は底本では「二山上」]である。其真下に、涅槃仏のやうな姿に寝てゐるのが、麻呂子山だ。其頂がやつと、講堂の屋の棟に乗つてゐるやうにしか見えない。
こんな事を、女の身で知つて居る訳はない。だが俊敏な此旅びとの胸には、其に似たほのかな綜合が出来あがつて居たに違ひない。暫らくの間、懐しさうに薄緑の山色を仰いで居る。其から赤色の激しく光る建て物へ、目を移して行つた。
此寺の落慶供養のあつたのは、つい四五日前であつた。まだ其日の喜ばしい騒ぎの響きが、どこかにする様に、麓の村びと等には感じられて居る程なのだ。
山颪に吹き暴されて、荒草深い山裾の斜面に、万蔵法院のみ燈の煽られて居たのに目馴れた人たちは、この幸福な転変に目を[#挿絵]つて居るだらう。此郷近くに田荘を持つて、奈良に数代住みついた豪族の一人も、あの日は帰つて来て居た。此は天竺の狐の為わざではないか、其とも、此葛城郡に昔から残つてゐる幻術師のする迷はしではないかと、廊を踏み鳴し、柱を叩いて見たりしたものである。
数年前の春の初め、野焼きの火が燃えのぼつて来て、唯一宇あつた堂が、忽痕もなくなつた。其でも、寺があつたとも思ひ出さぬほど、微かな昔であつた。
以前もの知らぬ里の女などが、其堂の名に不審を持つた。当麻の村にありながら、山田寺と言つたからである。山の…

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