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僕の国
ぼくのくに
作品ID45120
著者スティーブンソン ロバート・ルイス
翻訳者新美 南吉
文字遣い新字旧仮名
底本 「日本児童文学大系 第二八巻」 ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日
入力者菅野朋子
校正者noriko saito
公開 / 更新2011-02-08 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


光つて泉の湧くそばに
僕の小さな窪がある。
 僕の丈ほどふかくない。
はりえにしだなど生えてゐる。
夏には夏の花が咲く。
 黄つぽい花や赤い花。

泉を僕は海と呼ぶ
あたりの丘を山と呼ぶ。
 そんなに僕は小いのだ。
僕はつくつた舩や町。
僕はさがした洞や穴。
 洞や穴には名をつけた。

あたりのものは僕のもの、
頭の上の雀でも、
 泉の中の小ばやでも。
ここでは僕は王様だ。
僕は蜂どもうたはせる。
 僕は燕をあそばせる。

ここより広い海はない。
ここより大きな原はない。
 僕よりほかに王はない。
けれど日暮が来た時に、
母さんの声が呼びに来た。
 「坊やお帰りごはんだよ。」

窪よさよなら僕のくぼ。
泉さよなら、よい水よ。
 花もさよなら僕の花。
そしてお家にきて見れば、
何て大きな乳母だらう。
 何て冷い部屋だろう。



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