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お金とピストル
おかねとピストル
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「夢野久作全集7」 三一書房
1970(昭和45)年1月31日
初出「九州日報」1923(大正12)年11月11日
入力者川山隆
校正者土屋隆
公開 / 更新2007-08-11 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




 泥棒がケチンボの家へ入ってピストルを見せて、お金を出せと言いました。ケチンボは、
「ただお金を出すのはいやだ。その短銃を売ってくれるなら千円で買おう。お前は私からお金さえ貰えばそんなピストルは要らないだろう」
 泥棒は考えておりましたが、とうとうそのピストルを千円でケチンボに売りました。ケチンボは泥棒からピストルを受け取ると、すぐにも泥棒を撃ちそうにしながら、
「さあ、そのお金ばかりでない、ほかで盗んだお金もみんな出せ。出さないと殺してしまうぞ」
 と怒鳴りました。
 泥棒は腹を抱えて笑いました。
「アハハ。そのピストルはオモチャのピストルで、撃っても弾丸が出ないのだよ」
 と言ううちに表へ逃げ出しました。ケチンボはピストルを投げ出して泥棒を追っかけて、往来で取っ組み合いを始めましたが、やがて通りかかったおまわりさんが二人を押えて警察へ連れて行きました。
 警察でいろいろ調べてみますと、泥棒が貰った千円のお金はみんな贋物のお金で、ピストルはやっぱり本物のピストルでした。
 二人共牢屋へ入れられました。



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