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人形の家
にんぎょうのいえ
著者
翻訳者島村 抱月
文字遣い旧字旧仮名
底本 「人形の家」 角川文庫、角川書店
1952(昭和27)年8月15日
入力者土屋隆
校正者松永正敏
公開 / 更新2008-07-01 / 2014-09-21
長さの目安約 139 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 人物

トル[#挿絵]ルト・ヘルマー
ノラ(ヘルマーの妻)
醫師 ランク
リンデン夫人
ニルス・クログスタット
ヘルマー家の三兒
アンナ(三兒の保姆)
エレン(女中)
使の男

  場所

ノルウェーの首都クリスチアニアにあるヘルマーの家(大建物の内部を幾家屋かに仕切つた一つ)
[#改ページ]

    第一幕


居心地よく趣味に富んで、それで贅澤でない設備の一室、奧、右手は廊下へ通ふ扉、左手はヘルマーの書齋に通ふ扉、それから前によつて窓、窓の傍に小さい圓テーブル、二三脚の肱掛椅子、小さい一臺のソファ。また右側の壁には少し奧によつて扉、ずつと前によつて瀬戸で疊んだストーヴ、その前に二脚の肱掛椅子と一脚のロッキングチェアとがあつてストーヴと扉の中程に小さいテーブル。双方の壁には版畫が懸つてゐる。置棚には陶器、骨董品など、また見事な裝釘の書物を詰めた小さな本箱が据ゑてある。敷物は絨氈、ストーヴには火が燃えてゐる冬の日。廊下の方でベルが鳴ると、すぐ外の扉のあく音がして、ノラがはしやいだ樣子で鼻唄を唄ひながら入つてくる。外出服のまゝで、幾つかの小包を提げてゐる。それを右手のテーブルの上に置く、廊下への扉は明け放したまゝで使の男の立つてゐるのが見える。その男は持つてきたクリスマス・ツリーと堤籠とを戸を明けに出た女中に渡す。

ノラ そのクリスマス・ツリーをよく隱してお置きよ、エレン。晩にすつかり火をつけるまでは、子供達に見せちやいけないよ。(金入れを出しながら使の男に向つて)幾ら?
使の男 二十五エール。
ノラ はい、五十エール、いゝえ、おつりは取つてお置き。(使の男禮をいつて去る。ノラは戸を閉めて默つて嬉し氣ににこ/\し續けながら外出仕度のものを脱ぐ。隱しから一袋のパン菓子を取出し一つ二つ喰ひながら、夫のゐる室の扉の側へ爪立足で歩みより聞耳をたて)さうよ、家にゐるわ、ラヽヽヽヽ(右手のテーブルの方へ行きながら又鼻唄をはじめる)
ヘルマー (自分の室で)そこで囀つてるのは家の雲雀かい?
ノラ (忙しげに手近の小包を開きながら)さうですよ。(一つの包みをピアノの傍のマントの下にかくす)
ヘルマー 跳ね廻つてるのは栗鼠さんかい?
ノラ えゝ。
ヘルマー 栗鼠さん、いつ歸つてきたんだい?
ノラ 今歸つてばかし(パン菓子の袋を隱しに忍ばせ口を拭ふ)いらつしやいよ、あなた、買物をしてきたから御覽なさいよ。
ヘルマー うるさいな(暫くして扉を開けペンを持つたまゝ此方を覗いて)買物をした? それを皆かい? 家の無駄使家がまたお金を撒き散してきたね。
ノラ だつてあなた、もういゝわ、少しくらゐお金を使ひに出かけたつて。やつとクリスマスが樂にできるやうになつたんですもの。
ヘルマー おい/\、無駄にお金を使つちやよくないな。
ノラ いゝぢやないの(ヘルマーにすがる)少しでいゝから無…

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