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小さな鶯
ちいさなうぐいす
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「若山牧水全集 第九巻」 雄鶏社
1958(昭和33)年12月30日
初出「小さな鶯」弘文館、1924(大正13)年5月
入力者小川幸子
校正者土屋隆
公開 / 更新2009-05-21 / 2014-09-21
長さの目安約 5 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

ちひさな鶯

 雪のつもつた
 枝から枝へ
 ちひさな鶯
 あをい羽根して
 ぴよんぴよん渡る

 小枝さらさら
 雪はちらちら
 ちらちら動いて
 羽根はあを
 あアをい鶯なぜ鳴かぬ

 うぐひすよ
 うぐひすよ
 ちひさな鶯寒むいか
 寒くばどんどと
 火にあたれ

 どんどと燃ゆる
 圍爐裏のそばで
 默つて聞けば
 なアいた 啼いた
 ほう ほけ べちよ
 ほう ほけ べちよ


春の雨

 木の芽がふくらんだ
 窓のさきの木の芽
 木の芽のさアきに
 雫が一つ生れた

 うまれた雫
 雫がまるく光つた

 光つたと思つたら
 きらきらきらりと落つこつた

 落つこつたと思つたら
 またひとつ生れた

 木の芽 木の芽
 木の芽のめぐりに雨が降る


たんぽぽ

 たんぽぽが咲いた
 はたけの畔に
 お地藏さんの横に
 たんぽぽの花は
 まつ黄な花よ
 まつ黄な花が
 ずらりと咲いた
 はたけの畔に
 お地藏さんの横に
 まつ黄に咲いた
 たんぽぽやたんぽぽや


雲雀

 雲雀が啼いてるね兄さん
 どこで啼いてるのだらう
 ずゐぶん澤山ゐるね兄さん
 お日さまのひかりが
 ぴちぴちはぢけてる樣だね兄さん
 聞いてゐると
 ねむくなるね兄さん
 早く走りませう
 兄さん 兄さん


春の日向

 ちいぴいちいぴい
 鳥が啼く

 ひいんこつこつ
 また別な鳥

 遠くか近くか
 柿の木か

 ちいぴいちいぴい
 ひいんこつこつ ひいんこつこつ

 窓を開けたら
 太陽が ばア


櫻眞盛り

 おほきなおほきな櫻の木
 まんまんまるい花ざかり

 あつちから見てもこつちから見ても
 まんまんまるい花ざかり

 風は吹けども花散らず
 小鳥とべども花散らぬ

 おほきなおほきな櫻の木
 まんまんまるい花ざかり


櫻散る散る

 昨日もひらひら
 今朝もひらひら
 今もひらひら
 櫻ひらひら
 ひらひらひらひら
 千散り
 萬散り
 千萬散り散り
 散つても散つても
 散り盡きない


螻のねぼけ

 畦の穴からひよつこりと
 螻が一疋とび出して
 『今晩は、今晩は』と云ひました
 空には霞んだ月ばかり

 返事がないのでこそこそと
 おほきなお尻を振り向けて
 いま出た穴へと入りました
 おほかたねぼけでござりましよ




 まいにちまいにち
 見てをれば
 お庭の蟻も
 かはゆくなる
 蟻よ蟻よと
 こちらで云へば
 返事しいしい
 頭ふりふり
 せつせとこちらにやつて來る
 蟻に御馳走
 やりませう


夏のけしき

 槍持 旗持
 眞白 小白
 雨の行列
 川の向うを急いで通る

 雷は峠を越えて
 雨の行列も行き過ぎ
 山から山に
 虹の橋が懸つた


富士の笠

 富士が笠かぶつた
 饅頭笠かぶつた
 雲の笠かぶつた
 富士が笠かぶりや…

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