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御時務の儀に付申上候書付
おんじむのぎにつきもうしあげそうろうかきつけ
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「福澤諭吉全集 第20卷」 岩波書店
1963(昭和38)年6月5日
入力者田中哲郎
校正者富田晶子
公開 / 更新2016-09-10 / 2016-06-10
長さの目安約 6 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 去る午年西洋諸國と御條約御取結に相成、新規御改法有之候所、太平打續候餘り、人の耳目に馴れざる義に付、御改法の御趣意は篤と承知も不仕、一時人氣動搖いたし候所え、諸藩士竝に浪人の輩、平生其身に不足有之候者共、人氣の騷立候を好き折といたし、妄に鎖國攘夷抔申儀を唱へ、諸大名え説込、又は京都え立入、議論の不及所は力業にて公然と人を殺害致す等、其勢追々増長致候に付、一には其勢に刧れ、一には其説に迷ひ候て、京都始諸侯にも右浪人共の申分に致一味候者も有之哉にて、既に一昨年大和一揆、尚又野州騷動、長州暴發等、不容易儀指起り、何れも表向は尊王攘夷抔唱候得共、内心は不測の禍心を抱き候義、誠に以て恐多義に御座候。畢竟は京都雲上の人々竝に諸大名の下情に通ぜず、輕々敷下人の申立を取用ひ愚弄被致候より指起候義にて、時運とは乍申、下より上を凌ぎ御國法を不奉恐惡弊に御座候。
一、公儀にては既に外國と御條約御取結相成、御條約面と申は一語たりとも雙方より違變不相成筈のものにて、外國よりは御條約面を押へ正論申立候所、御國内の形勢前條の通りにて、品々御指支有之、何分にも御條約面通り御仕向被遊兼候御場合有之、御役人樣方の御心配も不一方、鎖國の舊習俄に難改、國内人心不居合抔、言葉を盡し御辨解被爲有候義に御座候得共、最早御開港以來七ヶ年にも相成、今以て御國内居合不申、時々外國人を暗討いたし候抔、世界萬國え被爲對御國辱とも相成候義指起り、外國人も此儘にては彌[#挿絵]以際限無之、此上は京都え直談いたし、此迄 公儀にて御取結相成候御條約に京都の奧印を取候より外無致方儀と見据、則今般各國の軍艦大阪え相[#挿絵]候義に御座候所、内外餘程御六ヶ敷御時合にて、遂に
公方樣御辭職と迄被仰立、漸條約の義御許容の旨 京都より被仰出候由、乍恐内々承知仕候。右の次第に付、外國軍艦は一と先づ大阪表引拂候得共、右御條約御許容と申義一應被仰出は御座候とも、此迄の御條約面御改、且兵庫も御開港被成間敷趣に候得ば、其分にては外國にて決して承伏仕間敷、又々不遠内、事件指起可申、詰りの所、唯今より愚察仕候に、公武の御間柄、此儘に御合體相成間敷哉に奉存候。
 扨 公儀にて無御構、京都邊の義御心配不被遊、關東は關東にて外國との御條約御取□、御國内を御制服被遊候御威光御張立相成、諸大名は銘々の心得にて向背を可定抔、陰然たる御趣意にて、世間の議論に御動搖不被遊樣相成候はゞ、此迄は内外に御心配、
公儀御一手にて御引請相成、無實の御苦勞被遊候得共、一時に御事少に相成、御威光は行屆可申。然處右に付困り候者は諸大名に御座候。諸大名は固より此迄自分に覺悟も無之候て、 公儀の御心配を格別恐察も不奉、唯無事に傍觀いたし、間には恐多くも世の動亂を幸として私を營候向も有之哉の所、一旦右樣意外の御時勢に相成候はゞ、其進退如何可致哉。諸家迚大概平日より一定の國是相立候向…

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