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アーサー王物語
アーサーおうものがたり
作品ID50131
著者テニソン アルフレッド
翻訳者菅野 徳助 / 奈倉 次郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「第八篇 アーサー王物語」 青年英文学叢書、三省堂書店【近代デジタルライブラリー利用】
1907(明治40)年6月11日
入力者林清俊
校正者孝奈花
公開 / 更新2011-04-04 / 2016-07-19
長さの目安約 121 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

叢書序

 本叢書は洽ねく大家の手に成るもの、或は青年の必讀書として世に傳はるものゝ中より、其内容文章共に英文の至珍とすべく、特に我青年諸氏に利益と快樂とを與ふるものを撰拔せり。
 英語を學ぶに當り、文法字義を明かにし、所謂難句集に見る如き短文を攻究するの要あるは云ふまでもなしと雖も、亦可成多く一篇を成せる名家の著を讀み、英文に對する趣味を養ひ、不知不識其の豐富なる語類成句に習熟することを怠るべからず。前者は專ら學課として教師の指導に待つべきも、後者は學生諸子自ら講學の餘暇を利用して之を心掛くべきなり。著者等は親しく學生諸子に接し、教場以外獨習の助けとなるべきものゝ要求を知れり、是れ本叢書刊行の企ある所以にして、其冊子の小なるも諸子が携帶の便を計りたればなり。
 直譯なるもの及び之れと密接の關係ある不完全なる和譯英字書の譯語を其儘に用うるの弊害世に知られて、英學界の呪詛となりたれども、單に代名詞、助動詞等の譯し振りを變じたるのみにして、種々の事情より此弊未だ一掃せられず、此形式的譯法は原文の意義を發揮するに於て甚だ不完全のみならず、諸子一度此習癖に染まば修學上の害測り知るべからざるものあらん。又之れと全く反對の自由なる意譯法は、單に譯文として見る時は兎に角、諸子が修學の助けとして遺憾甚だ多し。著者等は原文の成句成文を單位として其意義を十分に譯出し、邦語の語法の許す限りは原文の一語をも忽かせにせざらんことを努め、且つ譯文中に屡々原文を[#挿絵]入して譯文との關係を示し、又其[#挿絵]入の原文は直ちに和文英譯の參考たらんことに意を用ゐたり。盖し是れ至難の業、茲には著者等の意のある所を一言し、如何に之れに成功したるかは諸子の判斷に委せんとす。
 最後に諸子の注意を促さんに、原文と譯文とを對照して其意義を解したるのみに放擲せば、諸子の惱中に留まるは恐らく譯文にして原文にあらざらん、是れ英文を讀むと稱するも其實邦文を讀みたるものなり。著者等は諸子に切言す、相對照して其意義を明かにしたる後更に原文のみを數回音讀して其印象を得られんことを、且つ譯文によりて和文英譯を試みられなば頗る有益の練習となり、著者等が此微々たる盡力を最大に利益に應用するものと云ふべし。
譯註者識

        ――――――
          注意
 譯解の都合上原書の一パラグラフを幾段にも分つの必要を生ぜり、但し段落の初行を一字劃右に寄せたるが原書に於けるパラグラフの始めと知るべし。
[#改丁]

本篇緒言

 譯者は本叢書第六篇『無人島日記』の緒言に於て、『ロビンソン、クルーソー漂流記』は冐險的、商業的、實際的なるアングロサキソンの特性を具體にしたるものなることを云へり。然れども是等の特色は未だ以て偉大なる國民を形成するに足らず、更に個人の品性を堅實にし、國民の理想を高遠ならしむる、道徳的、…

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