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其中日記
ごちゅうにっき
副題16 (十五)
16 (じゅうご)
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「山頭火全集 第九巻」 春陽堂書店
1987(昭和62)年9月25日
入力者小林繁雄
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2010-07-28 / 2014-09-21
長さの目安約 58 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

五月十九日 晴。

さらりと朝湯によごれを流して。――
自分のうちのしたしさ、そしてむさくるしさ、わびしさ。
日本晴、めつきり夏めいた。
今日はアルコールなし!

五月廿日 晴、風、そして曇。

暑い、暑い、汗、汗、友、友、酒、酒。

五月廿一日 晴れたり曇つたり。

初夏の朝のさわやかなるかな。
こゝもタバコキキンである。
Fさん来訪、あたりさわりのない四方山話。

五月廿二日 曇。

しづかに生きてしづかに死にたい。
棕梠の花咲く、私の部屋の樹木としてはその木が一本あるだけ。
胡瓜一つ五銭だつた。
私はこのごろからことにふさいだりいら/\したりする、密柑の花が匂ひ螢が飛びかふころは。――
山口まで散歩。
Yさん来訪、Hさんも、そしてほろ/\にしてもらつた!
夜明ちかく、ほとゝぎすが啼いた、一声、二声。

五月廿三日 曇。

五月廿四日 おなじく。

五月廿五日
去々来々、来々去々。
五月廿六日

五月廿七日 曇。

自粛自戒、鞭は自分で持て!
林芙美子女史の北岸部隊を読みて感動す。
三日ぶりに入浴して御飯を炊く。
Yさん来居、ありがたう。

五月廿八日 晴曇。

重苦しい日であり夜であつた。

五月廿九日――六月九日

この間ブランク、それは渾沌とでもいふより外はなかつた。
“自省録”

“秋葉小路の人人”
  (身辺雑記風に)

  旧作二首
一杯の茶のあたゝかさ身にしみて
  こゝろすなほに子を抱いて寝る
   噫、忘き弟よ
今はたゞ死ぬるばかりと手をあはせ
  山のみどりに見入りたりけむ

六月十日 曇。“時の記念日”

徹夜だつた。――
身心すこし落ちつく、温泉はありがたいかな。
夕方、白船君来訪、君は変らない人、よき子、よき夫、よき父、よき祖父、そしてよき友、よき社会人であるとしみ/″\感じ入つた、うれしい来訪であつたが、気の毒な来訪でもあつた、すみませんでした、あしからず。
つゞいて千冬君来訪、白船君を送りだしてから、同道して山口へ出かける、Kで飲んだ、Yさんも来てくれた、酔うて夜更けて夢中で戻つて寝た。

六月十一日 晴曇。

六月十二日 梅雨入。

六月十三日
       梅雨らしく降れ。
六月十四日

やつぱりほんたうに落ちつけない、怏々として起きたり寝たり、悩ましい朝々夜々であつた。
とても愉快な一夜であつた。――

六月十六日 晴。

七時のバスで、澄太君は西へ出発した、名残が惜しい、バスの見えなくなるまで見送る、……それから私は飲んだ、しやべつた、歩いた、酔つぱらつた。……
夜、Yさん来訪、Yへまで出かけて、また飲んだが、よい飲み方だつた。

六月十七日 晴。

空梅雨らしく、なか/\降りださない。
身心おちついてこゝろよし。
Yさんと坊ちやんといつしよに湯にはいる。
晩酌、ほどよい酒であつた。
亡弟二郎を想ふ、彼は正直すぎて、…

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