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浅沼稲次郎の三つの代表的演説
あさぬまいねじろうのみっつのだいひょうてきえんぜつ
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「浅沼稲次郎 私の履歴書ほか」 日本図書センター
1998(平成10)年8月25日
入力者門田裕志
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2011-01-04 / 2014-09-21
長さの目安約 48 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

一、吉田内閣不信任決議案賛成演説

     一九五三(昭和二十八)年三月十四日 衆議院本会議

 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました改進党並びに両社会党の共同提案による吉田内閣不信任案に対し賛成の意を表明せんとするものであります。
 吉田内閣は、日本独立後初めて行われた総選挙のあとをうけて昨年十月召集され、現に開かれておる第十五国会において成立せる内閣であります。その内閣が、同じ特別国会に於て不信任案が提出され、その間五カ月有余というのでありますから、いかに吉田内閣が独立日本の要望にこたえ得ず、その立っている基盤がいかに脆弱であるかということを示す証左であると思うのであります。以下、不信任案に対する賛成の理由を述べて、各位の賛同を求めたいと思います。
 第一には、第四次現吉田内閣は、独立後初めて成立せる内閣でありますから、独立後の日本をどうするかという抱負経綸が示され、日本国民に独立の気魄を吹き込み、民族として立ち上る気力を与えることが、その務めであるにもかかわらず、吉田内閣積年の宿弊は、独立後の日本の政治を混迷と彷徨の中に追い込んでおるのであります。終戦六年にして独立をかち得た国民は占領下に失われた国民としての自覚をとりもどし、民主主義的な民族として再建に努力せんとの熱意に燃えておるのであります。しかるに、吉田内閣は、この国民の熱情に何らこたえるところなく、いたずらに、外交はアメリカ追随、内政は反動と逆コースを驀進し、進歩的な国民を絶望に追い込むファッショ反動の政治を抬頭せしめ、一面、共産党に跳梁の間隙を与え、左右全体主義への道を開き、祖国と民主主義を危機に直面せしめておるのであります。民族の生気をとりもどし、国民を奮起せしめるためには、まず吉田内閣の打倒から始めなければなりません。これ、わが不信任案賛成の第一の理由であります。
 第二には、日本の完全独立と平和確保のためにその退陣を要求するものであります。お互いの愛する祖国日本は、昨年四月二十八日、独立国家として国際場裡に再出発をしたのであります。現実に独立をした日本の姿を見れば、日米安全保障条約並びに行政協定に基づいて、日本の安全はアメリカの軍隊によって保障され、アメリカ軍人、軍属並びにこれらの家族には、日本の裁判権は及びません。およそ一国が他国の軍隊によってその安全が保障され、その期間が長きに及べば、独立は隷属に転化することを知らねばならぬのであります。日本に居住するものに対し日本の裁判権の及ばざることは、一種の治外法権であって、完全なる独立というわけには参りません。
 加えて、領土問題についてこれを見るに、日本が発展途上に領有いたしました領土は、それぞれその国に帰すことはやむを得ぬとするも、南樺太、千島の領土権を失い、歯舞、色丹島は、北海道の行政区にあるにもかかわらず、ソ…

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