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みだれ髪
みだれがみ
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「みだれ髪」 新潮文庫、新潮社
2000(平成12)年1月1日
初出「みだれ髪」東京新詩社・伊藤文友館、1901(明治34)年8月15日
入力者田中哲郎
校正者富田倫生
公開 / 更新2012-03-31 / 2014-09-16
長さの目安約 25 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

[#ページの左右中央]


この書の体裁は悉く藤島武二先生の意匠に成れり表紙画みだれ髪の輪郭は恋愛の矢のハートを射たるにて矢の根より吹き出でたる花は詩を意味せるなり


[#改ページ]

臙脂紫


夜の帳にささめき尽きし星の今を下界の人の鬢のほつれよ

歌にきけな誰れ野の花に紅き否むおもむきあるかな春罪もつ子

髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ

血ぞもゆるかさむひと夜の夢のやど春を行く人神おとしめな

椿それも梅もさなりき白かりきわが罪問はぬ色桃に見る

その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな

堂の鐘のひくきゆふべを前髪の桃のつぼみに経たまへ君

紫にもみうらにほふみだれ篋をかくしわづらふ宵の春の神

臙脂色[#ルビの「えんじいろ」は初出では「ゑんじいろ」]は誰にかたらむ血のゆらぎ春のおもひのさかりの命

紫の濃き虹説きしさかづきに映る春の子眉毛かぼそき

紺青を絹にわが泣く春の暮やまぶきがさね友歌ねびぬ

まゐる酒に灯あかき宵を歌たまへ女はらから牡丹に名なき

海棠にえうなくときし紅すてて夕雨みやる瞳よたゆき

水にねし嵯峨の大堰のひと夜神絽蚊帳の裾の歌ひめたまへ

春の国恋の御国のあさぼらけしるきは髪か梅花のあぶら

今はゆかむさらばと云ひし夜の神の御裾さはりてわが髪ぬれぬ

細きわがうなじにあまる御手のべてささへたまへな帰る夜の神

清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき

秋の神の御衣より曳く白き虹ものおもふ子の額に消えぬ

経はにがし春のゆふべを奥の院の二十五菩薩歌うけたまへ

山ごもりかくてあれなのみをしへよ紅つくるころ桃の花さかむ

とき髪に室むつまじの百合のかをり消えをあやぶむ夜の淡紅色よ

雲ぞ青き来し夏姫が朝の髪うつくしいかな水に流るる

夜の神の朝のり帰る羊とらへちさき枕のしたにかくさむ

みぎはくる牛かひ男歌あれな秋のみづうみあまりさびしき

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君

許したまへあらずばこその今のわが身うすむらさきの酒うつくしき

わすれがたきとのみに趣味をみとめませ説かじ紫その秋の花

人かへさず暮れむの春の宵ごこち小琴にもたす乱れ乱れ髪

たまくらに鬢のひとすぢきれし音を小琴と聞きし春の夜の夢

春雨にぬれて君こし草の門よおもはれ顔の海棠の夕

小草いひぬ『酔へる涙の色にさかむそれまで斯くて覚めざれな少女』

牧場いでて南にはしる水ながしさても緑の野にふさふ君

春よ老いな藤によりたる夜の舞殿ゐならぶ子らよ束の間老いな

雨みゆるうき葉しら蓮絵師の君に傘まゐらする三尺の船

御相いとどしたしみやすきなつかしき若葉木立の中の盧遮那仏

さて責むな高きにのぼり君みずや紅の涙の永劫[#ルビの「えいごふ」は初出では「えうごふ」]のあと

春雨にゆふべの宮…

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