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手紙
てがみ
副題018 慶応元年九月九日 池内蔵太家族あて
018 けいおうがんねんくがつここのか いけくらたかぞくあて
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「龍馬の手紙、宮地佐一郎」 講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日
入力者Yanajin33
校正者Hanren
公開 / 更新2010-08-12 / 2014-09-21
長さの目安約 3 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

時々の事ハ外よりも御聞被レ遊候べし。然ニ先月(初五月ナリシ)
長国下の関と申所ニ参り滞留致し候節、蔵に久しくあハぬ故たずね候所、夫ハ三日路も外遠き所に居候より其まゝニおき候所、ふと蔵ハ外の用事ニて私しのやどへまいり、たがいに手おうち候て、天なる哉/\、きみよふ/\と笑申候。このごろハ蔵一向病きもなく、はなはだたしやなる事なり。中ニもかんしんなる事ハ、いつかふうちのことをたずねず、修日だんじ候所ハ、唯天下国家の事のみ。実に盛と云べし。
夫よりたがいにさき/″\の事ちかい候て、是より、もふつまららぬ戦ハをこすまい、つまらぬ事にて死まいと、たがいニかたくやくそく致し候。
おしてお国より出し人ニ、戦ニて命ををとし候者の数ハ、前後八十名斗ニて、蔵ハ八九度も戦場に弾丸矢石ををかし候得ども、手きずこれなく此ころ蔵がじまん致し候ニハ、戦にのぞみ敵合三四十間ニなり、両方より大砲小銃打発候得バ、自分もちてをる筒や、左右大砲の車などへ、飛来りて中る丸のおとバチ/\、其時大ていの人ハ敵ニつゝの火が見ゆると、地にひれふし候。蔵ハ論じて是ほどの近ニて地へふしても、丸の飛行事ハ早きものゆへ、むへきなりとてよくしんぼふ致し、つきたちてよくさしづ致し、蔵がじまんニて候。いつたい蔵ハふだんニハ、やかましくにくまれ口チ斗いゝてにくまれ候へども、いくさになると人がよくなりたるよふ、皆がかわいがるよしニて、大笑致し候事ニて候。申上る事ハ千万なれバ、先ハこれまで、早々。かしこ。
九月九日

池 さま
杉 さま
猶[#挿絵]、もちのおばゞハいかゞや、おくばんバさんなどいかゞや、平のおなんハいかゞや。其内のぼたもちハいかゞや。
あれハ、孫三郎、孫二郎お養子ニすはずなりしが、是もとがめにかゝりし、いかゞにや時々ハ思ひ出し候。
○あのまどころの島与が二男並馬ハ、戦場ニて人を切る事、実ニ高名なりしが、故ありて先日賊にかこまれ(其かず二百斗なりしよし。)はらきりて死たり。
〈ここより裏面〉
このころ時々京ニ出おり候ものゆへ、おくにへたよりよろしきなり。然バお内の事、ずいぶんこいしく候あいだ、皆々様おんふみつかわされたく候。蔵にも下され度候。
私にハあいかわらず、つまらん事斗御もふし被レ成候に、おゝきに私方もたのしみニなり申候。
あのかわのゝむすめハ、このころハいかゞニなり候や、あれがよみ出したる月の歌、諸国の人が知りており候、かしこ。

お国の事お思へバ、扨今日ハ節句とてもめんののりかいきものなどごそ/\と、女ハおしろいあぎのかまほねより先キに斗、ちよふどかいつりの面の如くおかしく候や。せんも京ニてハぎおん新地と申ところにまいり候。
夫ハかのげいしやなどハ、西町のねへさんたちとハかわり候。思ふニ、然レ共あの門田宇平がむすめ下本かるもが、さかり三林亡などなどお出し候時ハ、そのよふニおどりハ致すまじく、たあほふのよ…

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