えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索

マルは しあわせ
マルは しあわせ
作品ID51726
著者小川 未明
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 16」 講談社
1978(昭和53)年2月10日
初出「セウガク一年生」1939(昭和14)年5月
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者Juki
公開 / 更新2012-09-28 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より


 マルは かわいい ねこです。まあちゃんが とても かわいがって いました。
「ねえ おかあさん、マルが おしろいくさいよ。」
と、まあちゃんが いいました。
「どうしてでしょう。あんたの はなの せいじゃ ない?」
と、おかあさんは おっしゃいました。
「マルや、ここへ おいで。」
と、まあちゃんは マルを よびました。マルは よろこんで、まあちゃんの そばへ きて、ころがりました。まあちゃんは、マルの あたまを かぎました。
「やっぱり おしろいくさいよ。」
「マル、どうして おまえは、おしろいくさいの?」
 なんと きかれても、ねこですから ごへんじが できません。
「きっと、どこか おねえさんの ある おうちへ いって、かわいがられて いるのでしょう。」
と、おかあさんが おっしゃいました。
「どこかしら。」
と、まあちゃんは かんがえました。
「ああ、こして きた あの おうちだよ。」
 十日ばかり まえに、あちらの あたらしい 二かいやへ、こして きた おうちが ありました。そこには かわいらしい 女の 子が います。ことしから 学校へ あがって、じぶんと おなじ くみです。
 あくる日の あさ、みちで、
「とめ子ちゃん、いっしょに いきましょう。」
と、まあちゃんが こえを かけました。
「ええ、いっしょに いきましょう。」
と、かけて きました。
「あそびに いらっしゃい。」
「あんたもね。」
 ふたりは なかよしに なりました。
 まあちゃんは とめ子ちゃんの おうちへ あそびに いきました。
「まあちゃん、おはいり。」
と、とめ子ちゃんは よろこびました。とめ子ちゃんの おうちには、おねえさんが ふたり ありました。
「マルが あそびに くる?」
と、まあちゃんが きくと、
「まい日 くるわ。」
と、とめ子ちゃんが いいました。
「かわいい ねこね。」
と、おねえさんたちも いいました。マルは みんなに かわいがられて、しあわせだと、まあちゃんは おもいました。



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko