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真坊と和尚さま
しんぼうとおしょうさま
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 11」 講談社
1977(昭和52)年9月10日
初出「台湾日日新報」1936(昭和11)年10月31日
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者酒井裕二
公開 / 更新2016-09-13 / 2016-06-10
長さの目安約 5 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 夏休みの間のことでありました。
 がき大将の真坊は、先にたって、寺のひさしに巣をかけたすずめばちを退治にゆきました。
「いいかい、一、二、三で、みんないっしょに石を投げるのだよ、うまく命中したものが偉いのだから。」と、いいました。みんなは、目をまるくして真坊のいうことを聞いていました。
「はちが追いかけてくると、こわいな。」と、臆病な常ちゃんが、いいました。
「追いかけてきたら、竹の葉でたたき落とそうよ。」と、真坊が、いいました。
「ああ、それがいいね。」と、英ちゃんが、同意しました。
「みんなが、竹やぶへいって、竹を切ってこようや。」と、誠くんが、いいました。
「ああ、竹を切ってこよう。」
 四、五人の子供たちは、寺の竹やぶへ竹を切りにゆきました。やがて、てんでに、手ごろの青々とした、葉のついている竹を切ったり、折ったりしてきました。
「さあ、これでいい。」
 そういって、みんなは、往来で石を拾って、お寺の境内へ引き返してゆきました。
「だれが、号令をかけるの?」と、誠くんが、いいました。
「まあ、待ちたまえ、僕は、それはうまいから、ひとつうまくあの巣に当ててみせようか?」と、真坊が、いいました。
 原っぱで、野球をするときに、ピッチャーをしている真坊のいうことを、みんなは、だまって聞きながら、承認しなければなりませんでした。
「命中さしてごらん。」と、みんなは、手に石を握ったまま、真坊のするのを見ていました。
 真坊は、ボールを投げるときのように、片足を揚げて、高いひさしにかかっている、円いはちの巣をねらって石を投げました。石は、まっすぐにひじょうなスピードをもって、うなっていったが、巣をはずれて、ひさしの板に当たると、大きな音をたててはね返りました。
 この音が、あまり大きかったので、みんなはびっくりして、そこから、門の方に向かって逃げ出しました。
「真ちゃん、だめじゃないか、こんど僕がうまく命中してみせるよ。」と、英ちゃんが、いいました。
「ああ、みんなが一度ずつやってみようよ。そして当たらなかったら、一、二、三で、いっしょに投げることにしよう。」と、真坊が、意見を持ち出しました。だれも、がき大将の意見に反対するものがありません。
「さあ、英ちゃん、うまくお当てよ。」と、ほかの子供たちは、英ちゃんをはげましました。英ちゃんは石を握って、足音をしのんで境内へ入ってゆきました。そして、上を見て石を投げました。石は、太い柱に当たって、足もとへはね返って落ちたので、あわてて逃げてきました。
「こんど、誠くんだ!」
 やはり、石は、うまく当たりませんでした。最後にいちばん臆病な常ちゃんでした。もとより、うまく当たりっこがありません。
「さあ、みんなが、いっしょに投げるのだよ。」と、真坊は、いって、
「一、二、三っ。」と、号令をかけました。
 石は、散弾のよう…

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