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古川ロッパ昭和日記
ふるかわロッパしょうわにっき
副題06 昭和十五年
06 しょうわじゅうごねん
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「古川ロッパ昭和日記〈戦前篇〉 新装版」 晶文社
2007(平成19)年2月10日
入力者門田裕志
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2014-11-05 / 2014-10-13
長さの目安約 283 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

世の中が中々むづかしいのは、
悧巧者が居過ぎるからなら有がたいが、
実は馬鹿が多く居過ぎるためだからやりきれない。
八月二十日ふと思ふ。
[#改ページ]

昭和十五年一月



一月一日(月曜)
 有楽座初日。
 明治神宮から靖国神社へ廻り、参詣する。帰宅したのが午前二時、眼がさめたのは九時半。紋附を着、屠蘇・雑煮。清も元気。それから雑司ヶ谷の墓参、祖母上のところへ年始に寄る、今年九十五歳。一時すぎに有楽座へ。一座と有楽座の合同年始式で、舞台へ集まり、宮城遙拝、君ヶ代、神酒の乾杯、万歳三唱から愛国行進曲を合唱、散会。初日三時開演である。大入満員、補助椅子も、出切ってゐる。序が終って「新婚太閤記」これは思った通り、歌の使ひ方も古いし、川口松太郎にはユーモアといふものが、まるで無い、藤吉郎が書けてゐないので、やりにくい、アチャラカでやって、漸く笑はせる。さて次は「ロッパと兵隊」こいつが案外にいゝ、やってゐても気持がいゝし、泣けて来る。菊田の才には感心する、座附としては一寸他に求められまい。京極が、三浦環嬢を連れて来り、「大放送」の五景の時出て、挨拶をした、六十歳の嬢は十何歳の声を出し、愛嬌たっぷりで、「ロッパさんを尚今後とも可愛がって下さいまし、私も何卒」なんて言ひ、大喝采。「初春大放送」は、大成功、腹話術も先づよからう。誤算は団福郎のチムパンジー、これは本物と思ふのか、シーンとしちまって、一つも手が来ない。ミス・コロ夫妻の特別出演も案外受けなかった。ハネ九時五分。帰って夜食。やれ/\つかれた。


一月二日(火曜)
 十時起き、屠蘇・雑煮。座へ出る。すぐ支度して、「新婚太閤記」だ、どうも気乗りせず、それにあばれ廻るので息が切れる。「ロッパと兵隊」は、近頃の傑作と定った。感激まだ新たで、涙が出る。「初春大放送」は、チムパンジーの景をカットした、これもよく受けてゐる。昼の終り四時半頃、外出する暇なし、ふた葉のそぼろ親子と汁。飯がびしょ/\でまづし。夜の部、はち切れる満員。「新婚」クサリだ。「ロッパと兵隊」よく泣かせ笑はせる、幕切れは大芝居である。「大放送」終りによく手が来る。ハネ十時五分。女房見物、一緒に帰宅。久保田万太郎の「八重一重」を、初読みする。


一月三日(水曜)
 雑煮を食って十一時に出かける。大入満員、プレミアム附きで二円八十銭席が四円とのこと。昼の終りは四時十分。折柄来た京極を誘ってホテ・グリへ。オニ・グラ(まづし)、フィレ・ソール・ボンファムとシャリアピン、コーヒー、ペストリ。夜も、むろん大満員。
「新婚太閤記」ってもの、全くつまらず、槍を持って戦ったりするので、くたびれる。「兵隊」はます/\強く受け出した。「大放送」も、腹話術、段々よくなる。ハネ九時四十五分。この分なら、もっと早くなる。帰宅、夜食。


一月四日(木曜)
 十一時に出る。昼の部…

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