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孝子実伝
こうしじつでん
副題―室生犀星に―
―むろうさいせいに―
著者
文字遣い旧字旧仮名
底本 「萩原朔太郎全集 第三卷」 筑摩書房
1977(昭和52)年5月30日
入力者kompass
校正者小林繁雄
公開 / 更新2011-08-19 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


ちちのみの父を負ふもの、
ひとのみの肉と骨とを負ふもの、
ああ、なんぢの精氣をもて、
この師走中旬を超え、
ゆくゆく靈魚を獲んとはするか、
みよ水底にひそめるものら、
その瞳はひらかれ、
そのいろこは凍り、
しきりに靈徳の孝子を待てるにより、
きみはゆくゆく涙をながし、
そのあつき氷を蹈み、
そのあつき氷を喰み、
そのあつき氷をやぶらんとして、
いたみ切齒なし、
ゆくゆくちちのみの骨を負へるもの、
光る銀緑の魚を抱きて合掌し、
夜あけんとする故郷に、
あらゆるものを血まみれとする。
――十一月作――



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