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河の上の職場
かわのうえのしょくば
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」 新日本出版社
1987(昭和62)年6月30日
初出「文学案内」1935(昭和10)年12月号
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-09-25 / 2015-08-29
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


黒い水面が時々石炭の切れ口のように、ギラギラと河波の照りかえし、
中ひざまでせきとめられ、八本のミキサコンクリトがけの鉄骨に、
歯をむきだし、
カプリと、
背筋をひきちぎる音波をうって、揺れてゆく河――

脳味噌をぶち砕くような、のたうつ肚の底までピリピリと震動さす響。

八尺胴切の鉄骨、首もとからねじられ、下の合首まで、蒸気鉄鎚のするどい拍車の折返えしを喰って、へどをはきキャップを平ッぺに曳きこまれる。
ほうろ下駄歯に列組んだ鉄骨。
でっかい削炎に虫のような泥声をはく親方、
火のような熱いなまりが、ガワンーガワンーと打ちさげらるる破壊的な響に混って、断続として、飢えと、疲れにうごめく労働者の胸板に飛びこんでくる、
強烈にはじける、赤さびた鉄骨林の上、棒立につったって、けらのような「笑い」を噛み殺した顔、
片っ腹をしみ合し、一尺巾の足台に、ぐっと呼吸を掘りさげ、業をにやした胸くそ、
その場にたたきつけてやりたい悪びれが、頭のさきから足の裏まで、冬の牙をとがらし、古茶びんの貪婪さで、鶴嘴のような冷めたさがひやりと湧きたって、鉄骨の胴のなかへダニのようにからみ。

艶のない鉄骨
カプリと河波のんで、一日、労働者の心臓をもみつぶして、対岸のバラック街と一直線に結ぶため、あらゆる食欲をひきちぎる。
(『文学案内』一九三五年十二月号に発表)



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