えあ草紙・青空図書館 - 作品カード


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勾配
こうばい
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「増補 森川義信詩集」 国文社
1991(平成3)年1月10日
初出「荒地 4集」1939(昭和14)年11月
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2017-08-15 / 2017-07-17
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


非望のきはみ
非望のいのち
はげしく一つのものに向つて
誰がこの階段をおりていつたか
時空をこえて屹立する地平をのぞんで
そこに立てば
かきむしるやうに悲風はつんざき
季節はすでに終りであつた
たかだかと欲望の精神に
はたして時は
噴水や花を象眼し
光彩の地平をもちあげたか
清純なものばかりを打ちくだいて
なにゆえにここまで来たのか
だがみよ
きびしく勾配に根をささへ
ふとした流れの凹みから雑草のかげから
いくつもの道ははじまつてゐるのだ



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