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かの日の歌【五】
かのひのうた【五】
作品ID1390
著者漢那 浪笛
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
初出「琉球新報」1911(明治44)年12月24日
入力者坂本真一
校正者良本典代
公開 / 更新2017-01-20 / 2016-12-09
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


     [#挿絵]

気味わるき、
十二月の、ひねもす。
そとには、おやみなくそゝぐ雨、
軒端にみだらなる、なげかひ………

苦るしまぎれに煙草をすふ。
音なき浪――けむりのなかに、
うす暗き人生は、哀れ寂しく!
かゝみて――渦まく。

時々未練、眼をかする、
覚束なき恋のたはむれ!
力なく趁ふては、きゆる、
あはれ十二月の室内のひねもす。

     [#挿絵]

陰鬱な空気 と□す、
あおこけむす、きみ悪き墓場!
何者か深い/\底より、
吐息をもらす。

葬式の白き花
しとしとと雨□濡れて伏す。

すてやりの孤独のいのちは、
黒蝶のごとく、その□を朦ろなるさ迷ひ

     [#挿絵]

棕梠の葉のうすあかり、
郊外の空に、雲のひときれ、
十二時の鐘は、静かにうたふ。

あかき襦袢着かへし、少女の肌の如く
顔に触るゝ空気のかなしさ………
ラリアはあへかに笑ふ――
色みな恋 音楽!



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