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![]() しゃしつ |
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作品ID | 1423 |
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著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年1月8日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2017-01-05 / 2016-12-09 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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一頭のやせ馬に、
ひかれゆく黒塗りのかた馬車。
乗ひ合は六人、
その中に一人の若かい女。
膝向き合はした客は、
お互に眼をひらめかし、
たゞ無言。
――疑ひの多き車内だ。
沙漠に似たる車内に、
一人の若かい女、
今宵の旅の疲れに、
一つの慰めとなる。
あゝ車内の若かい女、
夜のランプにたとへやう?。
その異性の光は、
私の淋しい心を照らす。
時々色と匂ひと、
車のゴタック毎にとろけて、
静かになつかしく、
膩にしんた肉にふるゝ。
哀れなものはやせ馬、
鼻息荒らく、たゆむ隙がない、
鞭の鳴る毎に
いや更に走る。