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吸い殻
すいがら |
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作品ID | 1496 |
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著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年1月9日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2017-02-25 / 2017-01-12 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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午前七時、
時刻が来たいざ学校へ。
晩秋の市街の上を、
悲しげに風は泣きすぐ。
絶えずしたゝる冷たい鼻汁を、
すゝりつゝ道を通る。
ふとして眼にとまる白い吸い殻、
誰れが手から投げ捨てられし……。
もどかしい黄色な煙は、
力なく渦をまいて漂ふ。
火の気衰ろへ、煙が消えると、
死人の影がちらつく。
今一しきり秋空が吹き過ぐる、
吸い殻は空しく地上を転ろげる。