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小志
しょうし
作品ID1602
著者太宰 治
文字遣い新字新仮名
底本 「太宰治全集10」 ちくま文庫、筑摩書房
1989(平成元)年6月27日
初出「朝日新聞 第二二一六三号」1947(昭和22)年11月17日
入力者土屋隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2005-04-22 / 2016-07-12
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 イエスが十字架につけられて、そのとき脱ぎ捨て給いし真白な下着は、上から下まで縫い目なしの全部その形のままに織った実にめずらしい衣だったので、兵卒どもはその品の高尚典雅に嘆息をもらしたと聖書に録されてあったけれども、
 妻よ、
 イエスならぬ市井のただの弱虫が、毎日こうして苦しんで、そうして、もしも死なねばならぬ時が来たならば、縫い目なしの下着は望まぬ、せめてキャラコの純白のパンツ一つを作ってはかせてくれまいか。



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