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古街
ふるまち |
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作品ID | 1744 |
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著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年1月10日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2017-03-19 / 2017-01-12 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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黄昏時を四五分すぎたあと、
薄闇を縫ふて、紅い々々燈の華が、
冬咲きの仏相花のやうにちらつく。
昔の栄華を夢見る古るい街、
傾むいた軒を並べて、
底深く静まりかへる。
蔦の生へた石垣からは、
亡びの色調を帯びた虫の歌。また、
たく/″\と流れる溝のなげかひ。
私は古るい街の巷に迷ひこんだ、
何処かへ逃げ道を見出さうとした、
古るい街は逃すまいと抱きつく。
私と亡びゆく古るい街、
その間に永い哀情が横たへ、
深かい/\闇に沈んでゆく。