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![]() まよわし |
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作品ID | 1910 |
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著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年1月12日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2017-04-05 / 2017-03-11 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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わが思ふ女ありやなしや。
まよわしきかな。
夕暮の窓にもたれて、蒼白き息ふく
われも、またありやなしや。
あな、うたがわし。
蚊のなく声を、君がかなしき唄とや
きかむ。
柔風の木の葉にすがる、たわふれを、
君が鬢のほつれとやきかむ。
淋しき夕べの鐘もきこゆ。
森のかなた、君住む墓の頭りにや
あらむ。
今なり、われは独りさ迷ひゆかむ!
夕べの鐘をしたひて
その音に耳を静めて。