えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
![]() あたらしきかなしみにうつるとき |
|
作品ID | 2037 |
---|---|
著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年1月13日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2017-05-15 / 2017-03-11 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
うら若かき日の悲しきあこかれ――
草葉の息吹きかへす甘き馨り、
艶はしき花の笑ひもながめて過ぎぬ。
木の間にさへずる鳥の歌をきく、
悲しみは眼を閉ぢて、暫時やすらひもせし。
されど、とく新らしき悲しみにうつりぬ。
何をもてこの闇を照らさむ。――
空を仰げば怖ろし…………
いざさらば、独り琉球節の一曲を、
口笛に、
うらやすき墓場のほとりにさ迷はむ。
そは音なき響きをきかむとや…………