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おびえ
おびえ
作品ID2039
著者漢那 浪笛
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
初出「沖縄毎日新聞」1911(明治44)年6月1日
入力者坂本真一
校正者良本典代
公開 / 更新2017-04-27 / 2017-03-11
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


咲きし華はしぼみて、
わが世は暗がりわたり。

くろめる渦巻きのなか
淋しき、うめきをやする。

そは、冷たき砂のうへに裂けて、
風に泣く片葉□貝にも似たり。

絶えせぬ浪の響き、肉にゆさぶれば、
小さき魂は、音なく伏してあるなり。
「なほ生きてあるのみ」
いつかまた、われは哀ふ。
と思へば、あたりのものみな、
怖ろしく眼にとまる。
かつて、命をすてゝ去る人あるを聞けど
あまりにかへる日の遠し…………。
われは今、かのひからびし落葉の如く
地の上を、あてなく転げて、
冷やかに尚ほ生きてあるのみ。



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