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四十代の主婦に美しい人は少い
よんじゅうだいのしゅふにうつくしいひとはすくない |
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作品ID | 3071 |
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著者 | 宮本 百合子 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「宮本百合子全集 第十四巻」 新日本出版社 1979(昭和54)年7月20日 |
初出 | 「女性」1923(大正12)年3月号 |
入力者 | 柴田卓治 |
校正者 | 米田進 |
公開 / 更新 | 2003-07-03 / 2014-09-17 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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この事は、私によくわかりません。普通云うような総括的な標準によれば、最も女性として成熟の頂点に達した二十二、三歳以後、三十四、五歳の間とでも云うのでしょうが、私として、そう定めてかかれるものとも思えません。種々な性格、境遇、生理的条件の下にある一人一人の女性は、皆、その人として、最も美しかった時代を各々に持つのですから。
美しさの種類も異うように思います。
自分の趣味で云うと、十五歳から十七、八歳の少女。次ぎには個人的経験の混乱期を経て或る落付きが心に備った二十、三十歳代の婦人。五十歳以後、内からの輝きが微かに漂っているような老婦人。
私は、四十代の婦人、結婚したばかりの婦人で、その人の持つ美のよい処を――嗜好上――現している人は、少ないと思います。
御返事の要点に触れなかったかもしれませんが。
〔一九二三年三月〕