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宇宙戦隊
うちゅうせんたい
作品ID3367
著者海野 十三
文字遣い新字新仮名
底本 「海野十三全集 第10巻 宇宙戦隊」 三一書房
1991(平成3)年5月31日
入力者tatsuki
校正者土屋隆
公開 / 更新2003-11-13 / 2014-09-18
長さの目安約 158 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

  作者より読者の皆さんへ

 この小説に出てくる物語は、今からだいぶん先のことだと思ってください。つまり未来小説であります。今から何年後のことであるか、それは皆さんの御想像にまかせます。しかしそれは百年も二百年も先のことではなく、あんがい近い未来に、このような事件がおこるのではないかと、私は考えています。
 それはそれとして、私たちは油断をしてはなりません。科学と技術とは、国防のために、また人類の幸福のために、新しい方面にむかって、どんどんきりひらいていかねばなりません。深い科学研究と、奇想天外な発明を一刻も早くつみあげていかないと、私たちも私たちの国も、とつぜんおそろしい危機をむかえなければならないでしょう。
 今日の航空戦隊は、やがて「宇宙戦隊」の時代にかわっていくことでしょう。数千メートルの高空を飛んで、敵機動部隊のま上にとびかかる航空戦隊、さらに成層圏を征服して、数時間で太平洋、大西洋を横ぎり、敵の首都に達し、大爆撃を行うことになるはずの、明日の航空戦隊――それをもっともっと強くりっぱなものにして、やがて「宇宙艦」をもって、大宇宙を制圧するまでに進めなければなりません。
 それはいったい誰がするのでしょうか。もちろんそれは、皆さんがた今日の日本少国民たちが、大人になったときにするのです。よわい民族ではできないことです。すぐれた科学技術を、つよい民族が使うのでなくては、とてもこのむずかしい仕事、この苦しい仕事をやりとげることはできません。
 しかしその仕事がむずかしく、また苦しいだけに、それに成功したときのうれしさは、今ちょっと考えただけでも愉快なことではありませんか。日本少国民の皆さん、どうぞしっかりやってください。

   奇妙な死骸

 ここに一つの奇妙な死骸が、地底七百メートルの坑道の中で発見された。坑道というのは、鉱石をほりだすため、地の底へむけてほった穴の中のことだ。
 その奇妙な死骸は、たしかに金属と思われるもので作られたかたい鎧で、全身を包んでいたのだ。
 しかしその姿は、じつにふしぎな、そしてめずらしいものであった。それを見つけた人々は、なんとかしてその死骸の姿に似たようなものを、これまでに見た雑誌の写真や、映画などから思い出そうとしたが、だめであった。まったく今までに、それに似かよったものが見あたらないのだ。
 だが、それが一つの死骸であることだけはわかった。首もあるし、胴も手足もあったから……。眼もちゃんと二つあるし、鼻もあった。口もあり、耳もあった。たしかに人間の持っている顔の道具はそろっていた。
 こういう風にのべると、あたりまえの人間と、あまりかわらないように聞えるが、さてもっとくわしく全身を見て行くと、これもふしぎ、あれもへんだと、次々に奇妙なことが発見されるのであった。
 まずその死骸の色であるが、前にものべたとおり、…

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