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一円本流行の害毒と其裏面談
いちえんぼんりゅうこうのがいどくとそのりめんだん
作品ID385
著者宮武 外骨
文字遣い新字新仮名
底本 「一円本流行の害毒と其裏面談」 有限社
1928(昭和3)年11月1日形式発行
入力者河上進
校正者八巻美恵
公開 / 更新1999-07-10 / 2014-09-17
長さの目安約 44 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#ページの左右中央]


著作界の売名家、奇人変人中のニセ悪人
 雑学大博士 外骨先生著 近来にない簡潔犀利の力作

一円本流行の害毒と其裏面談

熱烈の筆 痛快の論 辛辣と皮肉 好謔と善罵
   拍案拍掌 愉絶壮絶 溜飲の薬にもなる
(一冊定価金タッタ十銭)


[#改丁]

著者自序

本書の著者は彼是と多忙の身であるが、現在の円本流行を黙過すべからざる害毒問題として、天下に吼号し、以て読書界の進展と出版界の転機を促さんとするのである、これがため著者は、円本出版屋の怨恨と憎悪を受けて、ヤミウチされるかも知れないが、著者は再生外骨として一二の国家的事業を遂げねばならぬ貴重の身、今彼輩の手にかかるのは勿体ない、ナルベク其危殆を免れたいという生存欲で、聊か深刻と徹底を欠くの嫌いはあるが、総て具体的の記述を避けて、抽象的暗示的の筆を執る事にした、それで何だか卑怯らしい所もあるが、円本出版屋の大広告を載せて有卦に入る諸新聞、印税を貰って北叟笑む蚊士共、それ等に縁固ある諸雑誌、評論家ばかりで、誰一人此時弊を打破せんとする志士なきを慨して奮起した著者、此勇気だけは何人も認めてくれよう
 昭和三年十月十日
再生外骨
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[#挿絵]
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[#挿絵]
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本書を披見して、一時円本潮来の渦中に巻込まれた事のある人々は、少しクスグッタイ感を起される項もあろうが、此極端なる厳正批判と、遠慮なき内情暴露とは、マタ後日のおタメに成る点もある筈だから、ムカ腹を立てず、冷静に全篇を通読なさい、お笑草の所もありますよ


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一円本流行の害毒と其裏面談

著者    再生外骨

文運促進とか、読書子幸福とか、出版界革新とか云って、円本の流行を謳歌して居る奴も多いが、それ等はいずれも、永々貧乏生活をしていた蚊士輩が、図らずも巨額の印税にあり付いたので、其礼心やら、流行継続の野望から出たソソリ文句を並べるに過ぎない、古来の俚諺に「盗人にも三分の理がある」という、円本の流行にも何等かの利益はあろうが、それは盗人の道理に同じ事と見る、本書の著者は、礼讃の正反対たる撃退目的の痛棒をクラワシてやるのである、論難の無遠慮にして切実、観察の徹底的にして明敏、加之、簡潔の警句、犀利の妙文を以て自ら誇る著者が、五日間、鬼の住むという東北の山中にこもり、腕にヨリを掛て書きノメシた此総マクリ、毀る者は毀れ、誉める者は誉めろ、著者の胸中はタダ光風霽月
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害毒の十六ヶ条


我出版界のため、我読書界のため、延いては我学界のため、我経済界のため、黙過すべからざる重大の社会問題として、一円本流行の害毒を列挙すること左の如しである
要は破壊にあらずして建設、悪物退治にありて正業保護、罵らんとして罵るにあらず、傷つけんとして傷つく…

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