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一九二七年春より
せんきゅうひゃくにじゅうしちねんはるより
作品ID4206
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第十八巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日
初出「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日
入力者柴田卓治
校正者土屋隆
公開 / 更新2007-09-20 / 2014-09-21
長さの目安約 22 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 ○雲に映るかげ
 ○茅野の正月
 ○ゴーゴリ的会の内面
 ○アルマ
 ○花にむせぶ(Okarakyo の夫婦、犬、息子(肺病))
 ○となり座敷(下スワの男、芸者二人。自分、Y、温泉)
 ○夢、


     雲に映る顔

 ○夕やけの空を見て居る。
 ○家に居なくなった母
 ○雲が母の顔に見える
 ○子供山の向うに行ってしまう

     ○茅野

 ○かんてんをつくる木のわく沢山雪の上にある。
 ○寒い日当りのよいところがよい
 ○夜のうちに凍らす

     ○甲府

 ○兀突と結晶体のような山骨
 ○山麓のスロープから盆地に向って沢山ある低い人家
 ○山嶺から滝なだれに氷河のような雪溪がながれ下って居る。
 ○枯木雪につつまれた山肌 茶と色との配色 然し女性的な結晶のこまかさというようなものあり
 ○山と盆地
 ○下日部辺の一種複雑な面白い地形 然し小さし
 ○信州に入ると常磐木が多い。山迚も大きい感。常磐木があるので黒と白の配色。荘重 山と峡谷

     ○信州の女

○眼比較的大 二重瞼で、きっとしたような力あり。野性的の感
○蚕種寒心太製造

     隣室の話

 男、中年以上姉さんという女
  もっと若い女、
   芸者でもなし。品のわるい話。工女であった。
古女「こんだあ、上野公園や日比谷公園へつれてってくれないかね。」
古女「はぐれないようにして貰わなくちゃ」
○男「新宿は二十七日っきりだから、浅川だけだね、参拝するなあ」
中女「うれしいねえ」
  「だけど月経がさ」
  「フッ!」
男「いや 女は……見たような気はしないし、ちょいちょいちょいちょい――行きたくって――」
若女「車でとばしちまっただけで何が何だか分りゃしなかった、足でちっとも歩かないんだもの」
中女「宿賃いくらですってきき合わせたら、五円だって、えー五円? っていったのよ」
  「あらいやだ」
  「宿賃なんかとやかく云わないさ」
  「大きなこと云ってるわ」

     田舎新聞

 ○「寒天益々低落
 おい大変だぜ 寒天下落だよ

  中央蚕糸
  紅怨  紫恨

 ◇二度の左褄
 上諏訪二業 歌舞伎家ではさきに 宗之助 初代福助の菊五郎の二人が古巣恋しくて舞戻ったが、今度は又初代勘彌が云々

     茅野

 山の裾から盆地に雪が一面、そこに藁塚が関東のとは違い[#挿絵]大きな泡盛のびんのような形で黒く沢山ある。遠くから見下すと、まるで凍った白い雪の上を沢山のペングィン鳥が群れ遊んで居るような心持がした。
 ○凍って歯にしむみかん
 ○若い芸者、金たけ長をかけ、島田、
 牡丹色の半衿、縞の揃いの着物
 ○寒い国の女、黒い瞼 白粉の下から浮ぐ赤い頬
 ○水色、白 黒の縞になったショール
 ○赤い模様のつまかわ
 ○太鼓をたたく
 ○木のひねくれた板に 一力と白…

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