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小熊秀雄全集-22
おぐまひでおぜんしゅう-22
作品ID42196
副題火星探険―漫画台本
かせいたんけん―まんがだいほん
著者小熊 秀雄
文字遣い新字旧仮名
底本 「火星探険完全復刻版」 晶文社
1980(昭和55)年8月10日
入力者古江佐織
校正者浜野智
公開 / 更新2006-04-22 / 2014-09-18
長さの目安約 49 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[目次]
星野博士
火星への通信
火星の運河
火星に人間が住んでゐるか
空中飛行
火星の首都ミルチス・マヂョル市
大歓迎会
腹痛
トマト騒動
火星の看護婦さん
地球に向つて
テン太郎の報告
人間のヒゲと猫のヒゲ
コオロギと蛙
[#改ページ]

星野博士


テン太郎や お昼のおべんとうを 天文台のお父さんに とどけておくれ
ハイ 行つてきます


ニヤン子とピチクン 僕についてきたまへ
天文台をみせてくれる?
テン太郎さん ぼくもついてゆきますよ


さあ みんなでそろつて でかけやう
足なみ そろへて
一二 一二


ピチクン あんまり鼻をくつつけては いけないよ
だつて いい匂ひがするんだもの
あら ほんとだ 匂ひだけかぐのは つらいわね


あれが天文台だ あそこでお父さんは 星の世界の研究をなさつてゐるのだ
月や星を見る望遠鏡は あのまあるい屋根の やうな所にあるのよ
ニヤン君 よくしつてゐるね


小使さんがゐるかしら
きれいな建物ね
屋根の上で なんだかくるくる まはつてゐるね


小使さん お父さんの所へ おべんとうをもつてきました
わたしも おともしたんだわ
これは これは 星野博士のぼつちやんですか 博士は研究室の方です


ぢや ぼくたち 中に入つてもいゝですね
あゝ ええですとも その長いらうかを通つて 突きあたりの丸い建物です


あそこだな
あらまあ
ずゐぶん長いらうかだなあ


ここがね お父さんがゐらつしやる 火星研究室だよ
火星といふのは 人間がすんでゐるといふ 星のことだわね
さうだよ


あら 向ふにつづいてる丸い円筒のやうな建物はなにかしら
あの建物は、火星へ飛んでゆく、ロケットの格納庫なんだ
ちよつとのぞいてみたいわね


テン太郎さん ちよつと、まつて なんだか中の様子がへんですよ
ほんとにへんだわ
さうかしら ぢや、ニヤンちやん調べてくれ給へ


あらまあ おどろいた 大変だわ


(ドタバタ ドタバタ)
なかで 何か起つたの
早く 降りてくれ、何があつたか、しらしてくれ


どうしたんだ ニャンちやん
研究室の中では、ヒゲの引つ張り合ひよ
それぢや、喧嘩を、してゐるの


さうなのよ テン太郎さんのお父さんと月野博士とが
それは大変だ のぞいてみやう
それがいい


この窓からのぞいてみやう シーッしづかにしづかに
あらまあ
へんな喧嘩だな


わしは、どうしても 火星には人間が をらんと思ひますのぢや
いや、ちがふ 火星には人間がをりますよ


これはけしからん わしのヒゲを引つぱつて
わしのヒゲも あなたに引ッぱられてをりますのぢや


ヒゲがぬけてしまつても わしはわしの考へを変へません
わしは首がぬけても さう信じてをりますわい


これではいつまでたつてもケリが…

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