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ルンペルシュチルツヒェン
ルンペルシュチルツヒェン
作品ID42310
原題Rumpelstilzchen
著者グリム ヴィルヘルム・カール / グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール
翻訳者楠山 正雄
文字遣い新字新仮名
底本 「世界おとぎ文庫(グリム篇)森の小人」 小峰書店
1949(昭和24)年2月20日
入力者大久保ゆう
校正者浅原庸子
公開 / 更新2004-07-15 / 2014-09-18
長さの目安約 8 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 むかし、あるところに、こなやがありました。水車小屋でこなをひくのを商売にして、まずしくくらしてはいましたが、ひとり、きれいなむすめをもっていました。
 ところで、ひょんなことから、このこなやが、王さまとむかいあって、お話することになりました。そこで、すこしばかり、ていさいをつくろうため、粉屋はこんなことをいいました。
「わたくしに、むすめがひとりございますが、わらをつむいで、金にいたします。」
 王さまは、こなやの話を聞いて、
「ほほう、それはめずらしいげいとうだね。ほんとうに話のとおり、おまえのむすめに、そんなきようなことができるなら、さぞおもしろいことであろう。では、あした、さっそく城へつれてくるがいい。ひとつ、わたしがためしてみてやろう。」と、いいました。
 さて、むすめが、いやおうなし、王さまのところへつれてこられると、王さまは、むすめをさっそく、わらのいっぱいつんであるおへやにいれました。そうして、糸車とまきわくをわたして、こういいました。
「さあ、すぐと、しごとにかかるがよい。今夜からあしたの朝はやくまでかかって、このわらが金につむげなければ、そちのいのちはないものとおもうがよいぞ。」
 こういいのこして、王さまは、じぶんでへやの戸に、じょうをかってしまいました。むすめは、ひとりぼっち、あとにのこりました。
 さて、むすめは、ぽつねんとそこにすわったきり、いったいどうしたらいいのか、とほうにくれていました。わらを金につむぐなんて、そんなこと、まるでわかりようはありません。だんだん、心配になってきて、とうとう、たまらなくなると、むすめはわっと泣きだしました。
 するうち、ふと、戸があきました。ひとり、豆つぶのように小さな男がはいってきて、こういいました。
「こんばんは、こなやのおじょっちゃん、なんでそんなにかなしそうに泣きなさるえ。」
「まあ、あたし、わらを金につむがなければならないのだけれど、どうしてするものだかわからないの。」と、むすめはいいました。
 すると、こびとがいいました。
「わたしが、かわりに、それをつむいであげたら、なにをほうびにくれるえ。」
「この首かざりをね。」と、むすめはいいました。
 こびとは、首かざりをもらうと、糸車の前にすわりました。ぶるるん、ぶるるん、ぶるるん、三どまわすと、まきわくは、金の糸でいっぱいになりました。それから、こびとは、また二ばんめのまきわくをかけて、ぶるるん、ぶるるん、ぶるるん、三どまわすと、三どめで、またふたつめのわくが、いっぱいになりました。こうやって、あとから、あとからとやっていくうち、朝になりました。もうそれまでに、のこらずまきわくは、いっぱい金の糸になっていました。
 お日さまがのぼると、もうさっそく、王さまはやってきて、へやじゅうきらきら光っている金をみて、びっくりしました。すると、よけ…

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