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粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
あわだぐちしめすふえたけ(さわのむらさきゆかりのさきわけ) |
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作品ID | 4297 |
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副題 | 01 序 01 じょ |
著者 | 条野 採菊 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「圓朝全集 巻の三」 近代文芸資料複刻叢書、世界文庫 1963(昭和38)年8月10日 |
入力者 | 小林繁雄 |
校正者 | 門田裕志、仙酔ゑびす |
公開 / 更新 | 2010-11-29 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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今を去る三十年の昔、三題噺という事一時の流行物となりしかば、当時圓朝子が或る宴席に於て、國綱の刀、一節切、船人という三題を、例の当意即妙にて一座の喝采を博したるが本話の元素たり。其の時聴衆咸言って謂えらく、斯ばかりの佳作を一節切の噺し捨に為さんは惜むべき事ならずや、宜敷く足らざるを補いなば、遖れ席上の呼び物となるべしとの勧めに基き、尚金森に充分の枝葉を茂らせ、國綱に一層の研を掛け、一節切に露取をさえ添え、是に加うるに俳優澤村曙山が逸事を以てし、題して花菖蒲沢の紫と号せしに、この紫や朱より先の世の評判を奪い、三十年後の今日迄依然として其の色を変ぜざるのみか、一度やまと新聞に写し植字たるに、這も復時期に粟田口鋭き作意と笛竹の響き渡り、恰も船人の山に登るべき高評なりしを、書房は透さずこの船人の脇艪を押す事を許されたりとて、自己をして水先見よと乞うて止まねば、久しく採らぬ水茎の禿たる掉を徐ら採り、ソラ当りますとの一言を新版発兌の船唄に換えて序とす。
弄月庵主人記