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「街はふるさと」作者の言葉
「まちはふるさと」さくしゃのことば |
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作品ID | 43191 |
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著者 | 坂口 安吾 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「坂口安吾全集 09」 筑摩書房 1998(平成10)年10月20日 |
初出 | 「読売新聞 第二六三五六号」1950(昭和25)年5月8日 |
入力者 | tatsuki |
校正者 | 花田泰治郎 |
公開 / 更新 | 2006-04-23 / 2014-09-18 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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さわやかで、明るい、静かな物語をかこう。
この物語の中の人たちは、金と女、愛と憎しみ、罪や汚れに困りぬいている。泥沼へおちてぬけでられない男もいるし、死に場所をさがす女もいる。誰か死ぬかも知れない。みんなの負うている宿命は暗いが、それは人間全部のものだろう。
街にはザワザワと無数の跫音がむれている。泥棒の跫音も、パンパンの跫音も。しかし、人間のふるさとは人間の中にしかないと分れば、生きることほど、なつかしいものはないだろう。
地獄の門をくぐりぬけて青空の下へでることもできる。ふるさとは、どこにでもあるのだ。どこも、かしこも、さわやかで、明るくて、静かなはずである。