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虫喰ひ算大会
むしくいざんたいかい
作品ID43532
著者海野 十三 / 佐野 昌一
文字遣い旧字旧仮名
底本 「“虫喰ひ算”大會」 力書房
1946(昭和21)年3月30日
初出「“虫喰ひ算”大會」1946(昭和21)年3月30日
入力者田中哲郎
校正者土屋隆
公開 / 更新2004-11-10 / 2021-04-05
長さの目安約 73 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

   自序

 本書の中に、「“虫喰ひ算”大會」の會場が、第一會場から始まつて第三十會場まである。われと思はん方は御遠慮なく、第一會場から出發して、智惠だめし根だめしをなされたい。
「虫喰ひ算」とは、そもそもどんなものであるか。
 簡單にいへば、「虫喰ひ算」とは、虫に喰はれて判讀できない數字を、推理の力によつて判定する算數學のことである。
 但し學といつても、頭の芯がじーんと痛くなり、苦しみの外に何にもないといふやうな詰らないものではない。「虫喰ひ算」は非常に面白く樂しいもので、一旦これで遊んだものは終生「虫喰ひ算」のうれしい味を忘れ得ないであらう。私も二十年來これを愛好し、時にはこれを探偵小説に組立てて書いたこともあつた(海野十三作“暗號數字”)。
 本書の中には、「虫喰ひ算」の親類筋にあたる「覆面算」もいくつか收めてある。「覆面算」といふのは、數字が虫に喰はれて穴があいてゐるのではなく、文字又は符號の覆面をつけてゐる運算なのであつて、皆さんたち名探偵はその覆面を推理の力で叩き落として數字を剥し出すのだ。
 この兩方をひつくるめて、ここに「“虫喰ひ算”大會」を開いてあるが、會場の初めの方はやさしいが、だんだん後の方の會場となるとむつかしくなる。その代り「虫喰ひ算」の魅力はだんだんに強く加はり、最後の第三十會場までが殘り少くなるのが惜しまれるやうになるであらう。第一會場を合格すれば第一階選士と名乘る。が、第三十階選士となるには、とてもたいへん[#「たいへん」は底本では「たへいん」]である。
 やさしい問題は國民學校の二年生でも解ける。一等むつかしい問題でも、中學生なら解けるであらう。しかもこの「虫喰ひ算」の魅力は大學教授をして鉛筆を嘗めながら呻らせる魔力をも備へてゐて、實に神祕なところがある。
 本書にはわざと空白を用意してあるが、そこでは部分的計算や、やりかへしをするためにせいぜい鉛筆を運動せられて然るべし。
 本書には全部で百三十二箇の問題を集め得たが、これだけ集めるのはずゐぶん苦心し、且つ長い年月を要した。もつと多くの新しい問題を探し出したいと思ふが、私が二十年で得たものはこれで全部である。同好の諸氏で御存知ならば御惠投を煩はしたい。最後に本書は次の各書を參考としたことを記し、謝意と敬意とを表する。
F.C.Boon,“Puzzle Papers in Arithmetic”
G.C.Barnard,“An Elementary Puzzle Arithmetic”
F.F.Potter and F.C.Rice,“Common Sense Arithmetic”
H.E.Dudeney,“Modern Puzzles”
A.S.E.Ackermann,“Scientific Paradoxes and Problems”
藤村幸三郎氏著「新數學パヅル…

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