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人口論
じんこうろん
副題01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
01 だいいっぺん せかいのみかいこくおよびかこのじだいにおけるじんこうにたいするさまたげについて
原題AN ESSAY ON THE PRINCIPLE OF POPULATION
著者
翻訳者吉田 秀夫
文字遣い新字新仮名
底本 「各版對照 マルサス 人口論1」 春秋社
1948(昭和23)年10月15日
入力者京都大学電子テクスト研究会入力班
校正者京都大学電子テクスト研究会校正班
公開 / 更新2005-01-15 / 2014-09-18
長さの目安約 356 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

    第一章 問題の要旨――人口及び食物の増加率

 社会の改善に関する研究において、当然現れ来たるこの問題の研究方法は次の如くである、――
 一、幸福に向っての人類の進歩を在来阻害し来った諸原因を探究すること、及び、
 二、将来におけるかかる原因の全的または部分的除去の蓋然性を検討すること。
 この問題に十分に立入り、そして人類の改善に在来影響を及ぼした一切の原因を列挙することは、一個人の力では到底出来ないことである。本著の主たる目的は、人類の性質そのものと密接に結びついている一大原因の及ぼす影響を検討するにあるが、これは、社会始って以来不断にかつ有力に働いて来ているにもかかわらず、本問題を取扱った諸論者によってはほとんど注意を払われていないものである。この原因の存在することを証明する事実はなるほどしばしば述べられ認められているが、その自然的必然的結果はほとんど全く看過されている。しかしおそらくかかる結果の中には、あらゆる時代の有智の慈善家が絶えずその是正を目的としたところの、かの罪悪と窮乏、及び自然の恵みの不平等な分配の、非常に多くの部分を、数えることが出来よう。
 私の云う原因というのは、それに対して備えられた養分以上に増加せんとする一切の生物の不断の傾向のことである(訳註)。
〔訳註〕マルサスの意識においては、第一版の直接目標はゴドウィン、コンドルセエ流の思想の克服であり、その基礎理論として人口理論が用いられたのであるが、第二版以下ではこの基礎理論の説述そのものが主題となっている。このことは第一版と第二版以下各版との冒頭の文を比較すると最もよくわかる。第一版の冒頭は次の如くである。
『近年自然科学上に行われた予想外の大発見、印刷術の拡大による一般知識の普及、教養ある社会や教養のない社会にすら拡がっている熱心不羈の研究心、政治問題に投ぜられた人を眩惑驚倒せしめる著大の新光明、特に火焔の彗星の如くに新生命新気力をもって鼓舞するかまたは地上の畏縮せる住民を焦烙破滅せしめずんばおかぬ政治線上の恐るべき現象たるフランス革命は、すべて相共に多数の有能の士をして、吾々は、最も重大なる変化、ある程度に人類の将来の運命を決すべき変化の、大時代に、触れているのであるとの意見を、懐かしめるに至っている。
『云う所によれば今や大問題が発せられているのである、曰く、人間は今後加速度的に、在来考え及ばなかった無限の改善に向って出発し進み行くであろうか、または幸福と窮乏との間の永久的擺動に運命づけられ、あらゆる努力を払ってなお所期の目標から測り知れぬ遠きになお止るであろうか、と。
『しかし人類を愛する物が誰もこの面倒な不安の解決をいかに熱心に期待しなければならなくとも、また研究心に富む者がその将来如何を教うべき光明をどんなものであろうといかに切に歓迎しようとも、この重大なる問題…

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